平成28年度 第1回教育改革推進懇談会
平成28年度 第1回教育改革推進懇談会の概要
1 懇談会の趣旨
教育委員に現場の実情や課題,優れた取組等に関して幅広く把握していただき,教育委員会会議における審議をより活性化させるため,第一線で活躍している有識者との意見交換会を実施する。
2 日時及び場所
平成28年7月13日(水曜日) 9時30分~11時00分
教育委員会室
3 出席者
広島県教育委員会委員 4人,教育長
有識者 1人
4 テーマ
幼児教育の現状と基本的な方向性について
5 主な意見の概要
〇 乳幼児の生活でまず一番大切なのは,大人の愛情。これがなかったら,赤ちゃんは育たない。昔から言われていることだが,大人には子供に温かな愛情をもって,寄り添って生活することが求められる。
〇 乳幼児の生活は,食べる・寝るなどの生理的欲求を除いて,すべてが遊び。手を上げて,「アー」というのも遊び。歩き始める頃に,大人の靴やスリッパを履いてバタバタ歩くのも遊び。また,0歳から3歳頃までは,基本的な生活習慣が培われる時期である。ごはんを自分で食べること,着替えができること,手を洗うことなど,大人がしつけとして身につけさせるのではなく,これもすべて遊びとして身につけていく。
〇 子供の発達には,敏感期というものがあるが,つまり,さまざまな行動を習得していくには,それに適した時期があるということである。視覚,聴覚,味覚,嗅覚,触覚の五感は,5歳頃までに育つと言われており,5歳までに習得した感覚機能が,大人の今の感覚だということである。例えば,聴覚は3歳頃に鋭敏になるので,その時期に,さまざまな正確な音を聞かせてあげることが必要。周りの大人がどれだけ寄り添って,気付くかということが大切。
〇 「ざらざら」と「すべすべ」した触感のおもちゃに感動を覚えると,夢中になってそのおもちゃで遊ぶが,この充実感が子供の自己肯定感を育む。このように,大人は子供の興味関心を見取って,環境を準備すること。つまり,子供の興味関心をどこまで見抜いて,環境を整えることができるかが,保育者の大きな役割である。
〇 子供が自立すると友達を求めるが,その集団生活の場として3歳からの幼稚園が必要とされてきた。昔は自宅にいても,子供の周りに子供がたくさんいて,幼稚園に行かなくても他の子供に出会えたが,今は,家庭で過ごしている子供は,なかなか他の子供と出会えない。中には幼稚園や保育所にもいかない子供もいるので,そうした子供が地域の人に出会うことのできる場の提供が必要である。
〇 昔は,子育てをしている両親の周りには,おじいさんやおばあさんだけでなく,近所にも子育て中の仲間や子育て経験者がいた。そうした周りの人たちに助けられながら子育てをしていたと思うが,今は核家族化が進み,家庭でも地域でも子育ては孤独である。だからこそ,家庭と保育施設と地域が一体となって子育てをしていかないと,子供は育たない。
〇 昭和30年代の高度成長期に,「女性は家庭を守って男性はしっかり働くと,家庭が安定していい子供が育つ」という考え方があり,これが3歳児神話として今も残っている。確かに,子供の育ちには大人の愛情は不可欠だが,社会が変化して子供だけでは他者と関われない今の状況では,保護者は子供を低年齢の時から地域に連れ出して,地域の人に出会えるようにしなければならない。母親が孤独で子育てに不安を抱いている状況では楽しい子育てができないので,地域を挙げて,健やかに安心して子育てできる環境をつくらないといけない。
〇 日本における就学前教育・保育は,幼児教育の伝統をふまえた教育の文脈の幼稚園と,親の養育に欠ける子供を保育する福祉の文脈の保育所(園)という二つの文脈で行われてきた。しかし今は,女性の就労と少子化が進み,0歳から子供の保育・幼児教育を一貫したものとしてとらえることが求められている。そのため,幼保一体化における統一した保育実践をふまえたカリキュラムを考える必要がある。園(所)での子供たちの活動のうち,皆でした方が効果のある遊びは皆で行って,それ以外は子供の発達に合わせて,興味関心を見取って先生が環境をつくるということが必要である。ただし,好きな遊びをさせる自由選択活動は,やり方によっては放任になるので,環境による保育の充実が大事である。
〇 学校であれば,先生はかなり継続して勤務していただけるので,小学校の先生でも,1年間は初任者研修でずっと指導されながら勤務して,その後も研修というステージを考えていくけれども,保育士の方の研修というのはほとんどない。資格を取得して,勤務し始めたら,そのまま1人前としてやっていかなければいけない状況なので,研修等でどうバックアップができるか,考えていかないといけない。
6 資料
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