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くりっぷ72号(令和2年3月31日発行)

表紙
目次
○令和5年度から公立高校の入学者選抜制度が変わります!
○WWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアム構築支援事業 スタンフォード大学講師陣によるオンライン講座を開設!
○相談窓口

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令和5年度から公立高校の入学者選抜制度が変わります!
(令和2年度の中学1年生 平成19年4月2日~平成20年4月1日生まれ)

 広島県では,平成26年に広島版「学びの変革」アクション・プランを策定し,全国に先駆けて,児童生徒が自ら課題を発見し,解決していく能力を培うなど,「主体的な学び」を促す教育活動に取り組んでいます。
 また,令和3年度からは,中学校で新しい学習指導要領が全面実施となります。
 こうした新しい学びに合わせて,入学者選抜制度も変えていく必要があります。
 そこで,「広島県の15歳の生徒にどのような力を付けさせたいか」という観点から,広島県公立高等学校の入学者選抜制度を改善します。

自己を認識し,自分の人生を選択し,表現することができる力

これからの社会で活躍していく子供たちに,15歳の段階で,身に付けておいてもらいたい「力」を次のように考えています。

「自己を認識する力」
自分は何が好きなのか,自分はどういう人間なのか,など自分自身のことを理解することができる力

「自分の人生を選択する力」
自分の将来の夢や目標,自分がやりたいことなどについて,自分で考え,選択し,自分の意志で決めることができる力

「表現する力」
自分自身のこと,自分の考えや思いを,相手に理解してもらえるように工夫しながら伝えることができる力

 

保護者の皆さんへのお願い

 子供たちがこのような力を身に付け,発揮していくためには,学校や家庭が,子供たちにとって「気持ちを受け止めてもらえる」と安心できる環境であることが大切です。
 全ての学校で,子供たち一人一人が,自分の考えをしっかりと持ち,大切にし,先生や友達に心を開いて話すことができる雰囲気づくりや環境づくりを進めてまいりますので,御理解・御協力をよろしくお願いします。

令和5年度入学者選抜から始まる新しい制度のポイントを紹介します

 

1 中学生がより一層主体的に志望校を選ぶことができる環境を整えます
~全ての高校・学科で教育目標や育てたい生徒像等を明確化~

中学生がより一層主体的に志望校を選ぶことができるように,全ての高等学校・学科で,教育目標(スクールポリシー)や育てたい生徒像,入学者受入方針(アドミッション・ポリシー),入学者選抜の実施内容を事前に公表します。受検生は,進路の希望などに合った高等学校を選ぶことができます。各高等学校・学科の教育目標や,入学者選抜の実施内容などについては,各学校のホームページや広島県教育委員会ホームページで公表する予定です。
【各高等学校が作成】入学者選抜実施内容シート(※画像はイメージです。)
様式1

2 入学者選抜に係る期間を短縮します
~授業時数の確保など教育活動を更に充実~

「選抜(I)・(II)・(III)」を,「一次選抜・二次選抜」とすることで,入学者選抜に係る期間の短縮を図り,中学校及び高等学校において授業や学校行事の時間を増やすなど,教育活動の充実を図ります。

「一次選抜(一次募集)」 

全ての高等学校・学科で実施
・学力検査,調査書,自己表現により入学者を選抜します。
 ※独自検査を追加する高等学校・学科もあります。
・学力検査,調査書,自己表現の比重は,学力検査:調査書:自己表現=6:2:2を基本とします。
・全ての高等学校・学科が配点等を統一的に設定する「一般枠による選抜」と各高等学校・学科が配点等を設定する「特色枠による選抜」で,合格者を決定します。

「二次選抜(二次募集)」

一次選抜(一次募集)の合格者が入学定員に満たなかった高等学校・学科で実施
・調査書,自己表現により入学者を選抜します。
 ※独自検査を追加する高等学校・学科もあります。

 

3 調査書を簡素化します
~生徒が中学3年時までに身に付けた力を評価~

調査書は,受検生が通う中学校の校長が作成し,受検時に高等学校の校長に提出されるものです。これまで,中学校で記載していた行動の記録や特別活動の記録,欠席日数などの項目をなくします。学習の記録については,生徒の3年時における到達度をより評価する観点から,学年間の比重を第1学年:第2学年:第3学年=1:1:3とします。


【現在の調査書】
現在の調査書の画像
【新しい調査書(案)】(※画像はイメージです。)
様式2

 

 

4 受検生全員に「自己表現」を実施します
~受検生が自分自身を表現~

受検生は全員,受検会場で「自己表現カード」を作成し,「面談」方式による「自己表現」を行います。「自己を認識し,自分の人生を選択し,表現することができる力」がどのくらい身に付いているのかをみます。お辞儀の仕方や話し方などのテクニックをみるものではありません。自分の選んだ言葉や方法で,自分自身のことをプレゼンテーションしてください。

自己表現カード(※画像はイメージです。)
様式3

質問にお答えします!
新しい制度に寄せられた質問をいくつか御紹介し,お答えします。

Q 新しい制度では,現在の選抜(I)のように生徒の個性や特技を評価する選抜はなくなるのですか?
A 高等学校・学科の特色を踏まえて,独自の問題を追加したり,実技検査を実施したりするなど,独自検査を実施する学校もあります。また,一次選抜の「特色枠による選抜」において,学力検査,調査書,自己表現,独自検査の比重等を「一般枠による選抜」とは別の設定とする学校もあります。

Q 中学校での不登校の経験が,受検に影響しないか心配です。
A 今回の変更により,調査書には選抜に必要な項目のみを記載することとなります。欠席日数も調査書には記載されません。欠席日数が直接影響することはありません。

Q 人前で話すことが苦手ですが,「自己表現」で不利にならないですか?
A 大丈夫です。「自己表現」は,自分自身が考え,決めた内容を自分の選んだ言葉や方法で表現することができているかどうかをみるために行います。言葉だけで表現する必要はなく,自分の作品や賞状などを受検会場に持ち込むことも可能です。言葉や方法を工夫しながら自分自身を表現してください。

Q  新しい入学者選抜の日程などは,いつ決まるのですか?
A  新しい入学者選抜の日程は,まだ正式に決定していませんが,一次選抜が2月下旬から3月上旬の間に,二次選抜は3月中旬から下旬の間に実施する予定です。新しい入学者選抜制度の情報は,広島県教育委員会ホームページ等で,随時公表していきます。

Q  どうして調査書を簡素化するの?
A  生徒が調査書を意識するあまり,自由な発言や行動を自ら抑えてしまう場合もあることなどを考慮し,調査書には選抜に必要な項目のみを記載することとしました。現在,記載することとしているボランティア活動や部活動の記録については,「自己表現」において,受検生自身が表現することができます。

スタンフォード大学講師陣によるオンライン講座を開設!
―Stanford e-Hiroshima―

広島県教育委員会では,米国スタンフォード大学と連携し,オンラインによる遠隔講座「Stanford e-Hiroshima」を開設しました。令和元年度には,9月から約半年間実施し,県内15の県立・国立高校から29名が受講しました。今回は受講者の中から,県立広島国泰寺高等学校の1年生6名にお話を伺いました。

集合写真

―みなさんがこの講座に参加した理由は?
海外とつながる仕事に就きたいという夢があったり,先生から紹介されて部活みたいな感じで参加したりと,理由はいろいろです。でも,海外の文化や語学に関心があり,高校生になって何か新しいことに挑戦したいと思っていたところは全員共通しています。

―講座はどのような内容だったのですか?
おおよそ二週間に一つの単元があり,毎回テーマが与えられます。多様性や環境問題以外にも,「シリコンバレーと起業家精神」といった,教科書では扱われることが少ないものまで多彩です。各単元のテーマについて予習してから,スタンフォード大学の先生の講義を受け,web会議などを通して,ディスカッションを重ねていき,最終的にはレポートにまとめ,発表します。

―講義やディスカッションは全て英語で行われると聞きました。大変じゃなかったですか?
最初は質問するのに勇気がいりましたが,スタンフォード大学の先生やゲストスピーカーの専門家の皆さんが優しく丁寧に接してくれました。全ての英語なので,講義を重ねるごとにみんなの英語力も上がっていき,自分でも「読む」「聞く」「話す」「書く」の全てが上達したと感じることができました。先日突然,外国人に道を聞かれて,臆することなく自信を持って答えられたときは,自分の成長を実感しました。

―この講座で学んだことを,今後どのように生かしていきたいですか?
英語の先生になりたいとか,国際社会に貢献できる法律関係の仕事がしたいとか,みんなそれぞれに夢があるので,これからも英語力を磨き,目標に向かって,努力していきます。

―これからこの講座を受ける後輩たちにメッセージをお願いします。
時間に余裕がある1年生のうちにこうした経験をすれば,生き生きとした高校生活を送ることができると思うので,積極的に参加してください。

「Stanford e-Hiroshima」は,WWL(ワールド・ワイド・ラーニング)コンソーシアム構築支援事業の一環です。

 この事業では,広島国泰寺高校が拠点校となり,複数の高校,大学,企業等が協働して,高度かつ多様な科目内容を生徒の興味・関心に応じて学ぶことができる学習プログラムを開発するなど,様々な取組を進めています。