11月15日(金)に、小田原委員が広島中学校・高等学校を訪問しました。
広島県立広島中学校・広島高等学校(以下、広島中高)は平成16年4月に県内初の県立中高一貫教育校として開校しました。中高一貫教育校ならではの強みを生かした計画的・継続的な教育活動により、グローバル化時代において活躍することのできる人材の育成に取り組んでいます。
本日は、中学校での「ことば科」の授業、高等学校での「総合的な探究の時間」(卒業研究)の活動及び寄宿舎等の学校施設を視察しました。
広島中高では、「論理的な思考力・表現力」を各教科の核と捉えており、その力を育成するための必修教科「ことば科」を特別に設けています。
「ことば科」の授業では、中学2年生の生徒が2月に開催されるディベート大会の準備を行っていました。トゥールミンモデル※で立論をしており、生徒たちがグループで意見を出し合いながら作成していました。(※トゥールミンモデルとは、イギリスの哲学者スティーヴン・トゥールミンが提唱した、議論を評価し組み立てるためのプロセスのことです。)
また、不明点があればICT教材を活用して調べることで解決しており、言語活動の充実とともにデジタル教材も効果的に活用している様子がうかがえ、学ぶ意欲の向上につながっていると感じました。
次に、学校を回りながら、生徒の活動を視察しました。
広島中高の生徒は、約130名の生徒が寄宿舎入寮しています。寄宿舎では、学習面、生活面、食事面、行事面など充実した体制のもと、入寮生が自律した生活を送っています。また、中学生及び高校1年生が短期入寮を行い、集団生活を通して生活習慣の確立や、レクリエーションを通して人間づくりが行われています。寄宿舎を視察中、小田原委員は、「洗濯や掃除も1人で行っている様子が想像でき、自律した生活を送り、成長していると感じた。」とおっしゃっていました。豊田校長からは、「掃除班等を縦割りで分けているため、先輩が後輩の模範となり、後輩が先輩を目標とすることで、生徒自身も自覚が芽生え、寄宿舎での生活も自律して行うことができている。」と教えていただきました。
次に、「総合的な探究の時間」(卒業研究)の活動を視察しました。
広島高校では卒業に向け、生徒全員が論文を作成します。
論理的思考力・表現力、批判的思考力の育成を目的に高校2年生から卒業研究を行い、高校3年生の1学期中に完成し、発表をします。
今回の授業では、高校2年生が卒業研究のテーマを自身で考え、広島大学の大学院生に対してテーマを発表し、アドバイスをもらっていました。卒業研究のテーマについては、建築学や情報工学、教育学など、自身が興味を持っていることが軸となっているため、多岐にわたっていました。小田原委員は、「ゲームが与える学習への影響」や「犬の歯形と歯周病」といったテーマに興味を持たれていました。
また、図書室では、卒業生が作成した論文をまとめ、生徒がいつでも見られるよう保管しています。論文を作成する時期は、多くの生徒が先輩の論文を参考に自分の論文を作成していると教えていただきました。
小田原委員からの「論文の作成と生徒の進路に関連はあるのか。」という質問に対し、豊田校長からは、「興味があることをテーマにしているので、論文も進路と直結している。論文の内容が大学の学部・学科選択に繋がることもある。」と答えておられました。
視察後、小田原委員は、「試験に出るから勉強するのではなく、自分が興味・関心を持った内容であるため、より意欲的に勉強をしているのが伝わってきた。」と感想を述べられていました。