1月22日(水)に、中村委員が安古市高等学校を訪問しました。
広島県立安古市高等学校は、昭和50年(1975)に安佐南区初の公立高等学校として創立されて以来、「仰高(心豊かな人生の創造をめざし、高遠の理想を仰ぐことを意味する)」を校訓として、知(学力)、徳(人間性)、体(健康体力)をバランスよく育み、社会に貢献できる人材の育成を志しています。
本日は、令和4年度からスタートした「総合的な探究の時間」における2学年の学習活動「知の冒険」の、ポスター発表の視察を行いました。
ポスター発表会の前に、森棟校長から、学校の概要を説明いただきました。
安古市高等学校には、約900名の生徒が在籍しています。生徒の主体的な活動は、この大規模な学校を支える大きな柱の一つとして機能しており、特に文化祭は、代々先輩から引き継がれている伝統的な行事であり、3000人近くが来場する、大きなイベントだと教えていただきました。
1年生『娯楽』:来場者とともに楽しむ参加型ゲーム
2年生『合唱』:クラスで団結し、美しさを競い合う合唱コンクール
3年生『芸能』:現代社会が抱える問題をテーマにした演劇
(脚本から演出まで、すべて生徒が考案)
上記のような、代々引き継がれている学年テーマに基づいて、各クラスが、来校者に楽しんでもらうための企画をそれぞれ考案し、生徒の力で運営しているそうです。
この、文化の継承は、文化祭にとどまらず、体育祭や部活動でも行われ、よりよい環境を培う土壌となっているようです。森棟校長からは「本校に入ってくれた生徒を伸ばしていくことを大切にしている」という信念を教えていただきました。
次に、総合的な探究の時間を視察しました。
安古市高校では、総合的な探究の時間を「仰高ゼミ」と呼んでいます。仰高ゼミでは、様々な課題を発見・設定し、関連する情報を収集・整理・分析して解決策・結論を導くとともに、その内容をまとめ、わかりやすく伝えることを目標としています。各教科・科目の学習や特別活動と連携し、「情報リテラシー」、「自己管理(セルフマネジメント)能力」、「チャレンジ精神」、「粘り強さ」、「コミュニケーション能力(聞く力、伝える力)」、「課題発見・解決能力(探究する力)」の6つの資質・能力を育成します。1年生では、「自己探究」で自己を知り、他者を知ろうとすることを通して、自己の生き方在り方を考える力を身に付けていきます。また、「毘沙門台クエスト」では、毘沙門台団地における地域の課題を知り、解決策を提案し、実行していきます。2年生では、「知の冒険」、3年生では、「未来の学び計画書」で探究活動で学んだことを活かして、将来の学びの計画を立てます。
本日は、2年生の「知の冒険」でポスター発表会が行われていました。知の冒険では、生徒個々の関心領域や希望する進路分野から、課題を発見・設定し、年間を通して情報収集、分析・整理・表現、グループ討論のサイクルを繰り返し、ポスター発表を行います。調べ学習にとどまらず、グループによる探究活動の中で実際に実験、検証し考察します。
テーマは「日本の民家の建材についてー理想に合った建材の組み合わせはどのようなものだろうかー」、「60億の借金の返し方ー沢山のお金をどうやって手に入れたらいいかー」など幅広いものでした。「音楽が運動にもたらす効果ーどんな音楽を聴くと一番記録がよくなるのかー」というテーマで発表を行ったグループでは、実際にテンポの違う曲で走ると呼吸数等が変わるのかという実験を行い、テンポの速さによって呼吸数や走る速さも変わることが導き出され、中村委員も熱心に説明を聞かれていました。生徒が生き生きとテーマの発表をしており、1、2年生のみならず、地域の方々も含めて質問や意見交換が活発に繰り広げられていました。
中村委員からの「知の冒険はいつから取り組み始めているのか」という質問を受けて、森棟校長からは、春先から取り組んでおり、1年生の時に2年生の発表を実際に見てもらうことでイメージを持ってもらっている。また、興味のある分野を検証していることもあり、今後の進路にもつながる人が多いと教えていただきました。