令和7年2月14日(金)に、細川委員が竹原市立吉名学園を訪問しました。
竹原市立吉名学園は、広島県竹原市吉名町に位置し、吉名小学校、吉名中学校が一つになり、平成30年4月に開校した義務教育学校です。
※義務教育学校とは、小学校(前期課程)から中学校(後期課程)までの9年間の教育を一貫して行う学校のことを言います。
今回は、研究推進の取組についての説明と、前期課程3学年(小学3年)と後期課程9学年(中学3年)の授業の様子を見せていただきました。
吉名学園では、今年度から探究的な学びを中核とした「学びの変革」カリキュラム研究開発事業指定校となっており、研究推進の取組について、渡邊研究主任と日下研究推進リーダーから説明していただきました。
「主体的に学び、自分の言葉で語る児童生徒の育成~「共創」の視点に立った単元開発及び実践を通して~」を研究テーマに探究×共創の視点で研究が行われています。児童生徒が自ら求め、「学び」を創る「自立した学び」の実現のために、「児童生徒にとって充実した活動を通して、地域の材(財)を扱い、資質能力の育成を実現する」ことが必要であると教えていただきました。
資質・能力の育成を実現するにあたり、吉名学園では、「YOSHINA未来学」(生活科・総合的な学習の時間)を柱としています。
「YOSHINA未来学」では、1学年と2学年を第1期、3学年と4学年を第2期、5学年と6学年と7学年を第3期、8学年と9学年を第4期と分類し、育成したい力が設定され、系統化されています。3学年から9学年までが「吉名町を盛り上げよう」という共通の目的を持ち、各学年で児童生徒と教員が共に単元計画を作成しています。
今回は、6学年が行っている、「吉名町の歴史を調べて伝えよう~歴史秘話探索プロジェクト~」の一環である、「吉名の魅力いっぱい歴史ツアー」の準備から当日までの様子を見せていただきました。6学年の児童が「行ってみたいと思える吉名にしたい」という動機を持ち、準備から案内までを自分たちで行いました。歴史ツアーでは、地元企業に協力を依頼する必要があり、児童自らが地元企業にプレゼンをするために練習し、実際に許可していただけた際のインタビューでは、児童が「最初は難しいかなと思ったが、許可をもらえてうれしかった」と笑顔で話しており、その姿が印象に残りました。
また、「探究×共創」においては、
(1)子供との共創
(2)保護者との共創
(3)地域との共創
の3つの視点を持っています。
子供との視点については、各学年の「YOSHINA未来学」のテーマで協力できる点で学年の垣根を越えて協力したり、異学年との共創の場を増やす縦割り班活動などが行われたりしています。
保護者との共創については、学校評価アンケートの実施や目指す子供のゴールの姿の共有など入学から卒業までずっと共創を意識されています。
地域との共創については、地域の人的・物的な資源の活用などが行われています。例えば、9学年での、吉名での祭りを実現させ、協力をお願いするためのプレゼンテーションや8学年の吉名で働く人に対するインタビューなどがあります。
これらを通し、学園全体のアンケートでは、「YOSHINA未来学」の取組により、力が付いていると結果に出ていると教えていただきました。
続いて、3学年の総合的な学習の時間の授業を視察しました。
3学年では、「吉名町のよさを発見して伝えよう~吉名地域PRプロジェクト~」のテーマで、今回は吉名の宝をPRするための図鑑の題名を考えていました。「いい題名とは何か」を考える際、児童が積極的に手を上げており、総合的な学習の時間などを通して、主体性が培われていると感じました。
実際に児童は、「吉名のたからいっぱい図かん」や「見たら行きたくなるかも吉名の宝図かん」など様々な題名を発表していました。
次に、9学年の総合的な学習の時間の授業を視察しました。
今回は、「ありがとうのカタチプロジェクト~心を込めて伝えよう~」というテーマで、「誰に、どのような手段で、いつ、何を伝えるか」を話し合っていました。
両親やクラスメイトだけでなく、後輩や学校運営協議会の方など、様々な方にこれまでの感謝を伝えようと計画していました。生徒がどのように考え行動し、9年生を送る会や卒業式で感謝の気持ちを伝えていくのか楽しみです。
細川委員からの「今後の吉名学園の夢や目標はあるか。」という質問に対し、「保護者や地域の力、歴史など地域ぐるみで吉名の子どもを育てていき、ICT活用力や英語力、プレゼンテーション力を引き続き培っていきたい。」とおっしゃられました。
吉名学園の児童生徒は、「見る・聞く・自分から行動する」ができ、教員がゴールを決めてレールを敷くのではなく、児童生徒自身が考え、行動しゴールを作ることが大切であり、教員は、児童生徒を支えることを意識していると教えていただきました。
また、本日は、竹原市教育委員会の高田教育長にお越しいただき、竹原市立全学校をコミュニティスクールとしたことや義務教育学校についての思いなどをお話しいただき、細川委員と意見交換をされました。