10月28日(木)・29日(金)に,不登校をはじめとする学校での学習になじめない児童生徒を対象に,ワクワクする体験的な学びの場を提供するプロジェクト「東大LEARN in 広島」を開催しました。2回目となるプログラムのテーマは,「ふりかけ好きな子集まれ!ふりかけの秘密に迫る」でした。
「みんなが,口にしている食べ物が何からできているのか。」「知っているようで知らないものがたくさんある。」このことを,オンラインで交流したり,三島食品でのふりかけ分類等の調査活動をしたりして,12名の子供たちがふりかけの秘密を探るために探究しました。
≪1日目:オンライン≫
プログラム講師である東京大学先端科学技術研究センターの中邑賢龍教授が,
参加した子供たちに向けて3枚の写真を見せます。
そこには,赤い珈琲の実,牛,甜菜(てんさい)が映っています。
中邑先生が,
「この三つから,できているものは何だ?」
と問いかけます。
「えー。なんだろう。赤い実はブドウかな?ワイン?」
「あれは,大根かな?肉じゃがとか?」
すると,一人の子が,
「これ,甜菜(てんさい)じゃないの?」
と言いました。
「それなら,牛は牛乳だ。」
「赤い実は何?」
「これは,コーヒーの実だよ。」
「えー。」
「そう,この三つの写真は,缶コーヒーの原料になるものだ。」
中邑先生はさらに,枝豆(大豆),カツオ,ニンジンの写真を見せます。
「これは,どうだ?!」
「うーん……。」
・・・・・・・みんなわかりません。
「これは,シーチキンの原料だよ」
「シーチキンって,カツオなの!?」
「知っているようで知らないものがたくさんある。」
「今から家にある食べ物の原材料表を見てみよう!」
子供たちは,
「先生,このお菓子ミョウバンが入ってる!」
「これには,水あめが入っているのか。」
と,普段食べているものの材料に驚きます。
さらに,中邑賢龍教授は,子供たちにミッションを与えます。
「何からできているのか分からない食べ物もっておいで!」
わさび,辛子,ラムネ,カフェオレの素…
子供たちは,いろいろなものを持ってきます。
最後に,中邑先生から
「ふりかけは何からできているかな?明日は,三島食品へ行ってふりかけの秘密に迫ろう!」
と,2日目のミッションを告げられ,1日目は終わりました。
さあ,原材料・材料・製品の確認をし,ふりかけの不思議を探るために,三島食品へ!
≪2日目:三島食品≫
ふりかけに,何が入っているのかを調べ,オリジナルのふりかけを作れ!
ミッション1 ふりかけを解剖せよ!
原材料が分からないふりかけを,時間を掛けて,子供たちは,何が入っているのかを予想しながら解剖しました。
予想以上の難しさに,子供たちの中には音を上げる子も出てきます。
中邑先生は,
「これが研究者の仕事だよ。1つのものを根気強く徹底的に分類し分析できないと,研究者にはなれない。」
と,研究の厳しさを伝えます。
分類が終わったらようやく原材料と入っている割合について答え合わせです。
「へえ。カツオの他に,イワシが入っているのか。」
「ゴマは★割入っているのか。」
「これは,ワカメじゃないの??」
様々な気付きが出てきます。
ミッション2 工場に潜入し,ふりかけの原料・材料を探れ!
三島食品の方から,工場見学での留意事項を聞き,衛生面に配慮して,いざ,工場へ!
ふりかけの工程に注目する人,商品を運ぶベルトコンベアーに注目する人…様々で,
工場内での疑問を,工場長に質問しながら,解決していきます。
昼食ミッション 持ってきた白ご飯や白おにぎりに,分解したふりかけをかけ,それぞれの素材の味を確認!
休憩中は,さらに解剖を進めたり,他の製品の原材料を調べたり,それぞれ自由に過ごしました。
午後のプログラム開始
ミッション3 オリジナルふりかけを作れ!
講師の赤松先生から,
「つくるときのルール。大さじ8杯まで。原価が何円になるか計算してから調合すること!」
原価の示された,計算表をつかいながら,三島食品の方に材料について質問しながら
配合を考えてオリジナルふりかけを作りました。
自分の好きなものを多めにいれたり,原価を重視したり,解剖した結果から黄金比を考えたり
子供たちからは,
「なんでこんなに原価が違うんだろう…」
「税込みで原価を200円ぴったりにするにはどういう計算をしたらいいんだろう…」
など様々考えながら,オリジナルふりかけを作りました。
その後,それぞれのふりかけのコンセプトを発表
名付けて「NEO 瀬戸風味®」
「長い歴史のある,誰からも愛される瀬戸風味®。解剖の結果+自分が好きなものを入れて,新しい瀬戸風味®を作りました。ぜひ,新商品に加えてください!」
それから,ふりかけの疑問をたくさんもった子供たちは,
「なぜ工場が関東にもあるのですか?」
「新商品を作るのにどのくらいかかるのですか?」
「なぜイワシがはいっているのですか?」
などなど,
三島食品の方にたくさん質問をしました。
最後に,感謝の思いをこめてお礼の挨拶をし,
プログラムは終了しました。
プログラムを終えた子供たちは,
「原料から全く違うものになっていた。」
「一つ一つではなく,合わせることでおいしいふりかけができる。ふりかけを作るときに人の手が結構いるんだなあと思った。」
「普段見ていないところも意外と面白いなと思った。」
「普段の生活は工場とかの人たちに支えてもらっている。」
といった感想を寄せてくれました。
ふりかけの解剖は,時間がいくらあっても足りない。しかし,混ぜるのは一瞬。
そして,その混ぜる分量も企業のこだわり,秘密,理由がある。
このような,学びを深めていく体験をしたプログラムでした。
参加した子供たちには,このプログラムで学んだことから,さらに探究を深め,自ら学び続けることを期待しています。
過去のプログラムの様子などはコチラ→https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/kyouiku17/learn.html
「LEARN」についてはコチラ→https://learn-project.com/
「東大ROCKET」についてはコチラ→ https://rocket.tokyo/