東大LEARN in 広島「ジャム好きな子集まれ!君は新しい味を作ることができるか?」 を開催しました!
12月16日(木)・17日(金)に,不登校をはじめとする学校での学習になじめない児童生徒を対象に,体験的な学びの場を提供するプロジェクト「東大LEARN in 広島」を開催しました。
今回のプログラムのテーマは,「ジャム好きな子集まれ!君は新しい味を作ることができるか?」でした。
「ジャムって何からできているの?」,「ジャムのドロドロはどうやってできているんだろう」,「新しい味のジャムはできるかな?」と探究しながら,ジャムの正体を解き明かしていきました。
≪1日目:広島県立教育センター≫
ミッション(1) 「感じ取れ!」
プログラムが始まってすぐ,子供たちにアイマスクが配られました。
講師は,
「さあ,今から配る食べ物が何か分かるかな?」と問いかけます。
プログラム最初のミッションは,子供たちのセンサーを起動するミッションです。
子供たちはドキドキしながら,コップに入った食べ物を触ります。
「えーこわい…。でも,いい匂いがする!」
「わかった!いちごだ!!」
講師は,
「食べてないけど分かるの?」
と聞くと,
子供たちから
「匂いとか,触った感じで分かるよ!形も分かるしブツブツしてるし。」
との声。
続けて,講師から次の問いかけがありました。
「さあ,今から3つの果物を食べてもらうよ。みんなは感じ取れるかな?」
品種の違ういちごが配られ,子供たちは匂いを嗅いだり,触って大きさを比べたりしながらいちごを試食します。
「味が全然違う!」
「2番目一番香りがいい!」
「このいちごが高そう…。」
などなど…
起動した自分たちのセンサーを駆使して1つ1つのいちごを感じ取りました。
その後,いちごの製品の違い,いちごジャムの違いを,視覚以外のセンサー(味覚,嗅覚,触覚など)を使って,それぞれが評価しました。
ミッション(2) ジャムを作れ!
講師から次のミッションが伝えられます。
「今から1000円以内(砂糖は除く)で,オリジナルジャムを作れ!」
ジャムを作ることと予想してすでにレシピを考えてきている子供,普段料理は全くしていないという子供など,子供たちの調理経験は様々です。
楽しみと不安の中,ジャムづくりがスタートしました。
まず,材料費の1000円を受け取り,近くのスーパーに買い出しに行きます。
ほとんどの子供たちにとって,スーパーの果物コーナーをこんなにも時間をかけて見るのは初めての経験です。
それぞれの好きな果物,興味のある果物を購入していきます。
なかには,チョコ味のジャムを作ろうとチョコレートやナッツを購入しようとしたけれど,材料費が足らなくなり,購入費用の増額について,講師と交渉する子供もいました。
買い物が終わり,調理室に戻ってきた子供たちが,身支度をしようとしたそのとき,突然のミッションが提示されました。
なんと,調理台に砂糖と思われる材料が4つ並んでいます。
講師が,
「種類の違う砂糖を用意したので,自分のジャムに合わせ,選んで使おう!1つは塩だから気を付けてね。ただし,舐めたらだめだよ!」
突然のミッションに子供たちは,
「えー,砂糖を準備するって,言っていたのにー。どれが塩だろう?」
「これとこれは絶対砂糖だけど,あとはどっちが塩かわからん…」
「絶対砂糖ってわかるのを使うのが安全でいいかも…」
と慌てています。
しかし,ある子供が
「よし,砂糖か,塩かを実験して確認しよう!」
と提案しました。
「どうしたら調べられるの?」
「熱して焦げたほうが砂糖だ!」
子供たちは,棚からフライパンを取り出し,2つの材料をのせて火にかけます。
すると,片方の粉が溶けていきます。
「こっちが砂糖だ!」
砂糖と塩が判明し,子供たちは一安心です。
その後,ようやく調理スタート!
まず,買ってきた果物の下ごしらえから始めました。イメージするジャムを作るために果物を切っていきます。
子供たちは,煮詰めるタイミングに苦労しながらも,何とか完成にこぎつけました。
ジャムが完成したら,いよいよ試食タイム!
調理台には,パンやクラッカーだけでなく,サラダや焼き魚,肉なども並んでいます。
これまで,ジャムと合わせて食べたことのない食材とも食べ合わせてみます。
「どのジャムもおいしくできたねー」
「キウイジャムと肉めちゃくちゃ合う!」
新たな発見もあったジャムづくりでした。
しかし,ここで講師が一言・・・。
「みんな上手に作れていておいしかったけど,それは本当に『ジャム』と言えるのだろうか??」
「みんなの作ったジャムを,明日,ジャムのプロフェッショナル,アヲハタの方に評価してもらおう!」
子供たちは,自分で持ち帰るジャムとアヲハタに持って行くジャムと別々に瓶に詰めた後,片付けをして1日目が終了しました。
≪2日目:アヲハタ株式会社≫
プログラム開始前
開始前に,アヲハタ株式会社の宇都宮勝博さん(ダルメイン世界マーマレードアワード&フェスティバル日本大会 審査員)に子供たちの作ったジャムを試食していただきました。
「どれも完成度が高いですね!」とのお言葉をいただきました。
プログラム開始
ミッション(1) プロの指南を受けながら,いちごジャムを作れ!
まず,ジャムとは一体何なのかについて,ジャムのプロフェッショナル,宇都宮さんから話を聞きました。
ジャムの定義や,ジャムに含まれるペクチンの配合,それに係るpHの説明等,専門的な話でしたが,子供たちは一生懸命聞いています。
「OH-(マイナス)って何ですか?」
など,わからないことや興味を持ったことを次々と質問していきます。
説明が終わると,いよいよジャムづくりです。
子供たちは,円形の素敵なキッチンでイチゴジャムを作ります。
「すごい香り…」
アヲハタ株式会社のイチゴジャムのイチゴは,ジャム専用のイチゴ!
実の中まで赤く,とても香りの高いもので,会場中がイチゴの香りに包まれました。
専用の器具を使って,ジャムづくりにチャレンジ!
「すごい!イチゴがふくらんでる。」
宇都宮さんの指示のもと,糖度計でジャムの糖度を図ります。
ジャムの糖度が落ち着くのを確認しながら,砂糖の量を変えたり,火加減を調整したりしました。
ミッション(2) ジャムを分析せよ!
今作ったイチゴジャムと,1日目に作ったオリジナルジャムを比べて分析します。
まずは,それぞれのジャムをお皿の上に広げ,ジャムの粘度や香りを比較します。
「香りが全然違う…。」
「広がり方もだ。」
様々な違いに気付きます。
次に糖度計を使って測ってみると,
「自分のジャムは,糖度が足りないなぁ。砂糖ってもっといるのか…。」
「糖度がないと…。保存がきかない。」
見た目の変化だけでなく,見えない部分の違いにも気付くことができました。
宇都宮さんからは,
「アヲハタのジャムは,家ではできない様々な工夫をしています。でも,みんなが作ったジャムは本当においしく,よくできていますよ。」
と,評価してくださいました。
ものづくりの楽しさを感じるとともに,アヲハタ株式会社のジャムへのこだわりに圧倒されながらプログラムは終了しました。
プログラムを終えた子供たちは,
「なめらかなジャムを作るのが難しかった。」
「ジャムにペクチンが使われていたことは知らなかった。」
「ジャム一つ作るのにも色々な工夫や思いがつまっているんだ。」
「ジャムって簡単だと思っていたけど難しかった,ジャムが全然固まらなかった。」
といった感想を持っていました。
また,「ジャムを研究したくなった」とさらに探究しようという前向きな声もありました。
自分自身のセンサーを研ぎ澄まし,食材やジャムの評価を通して,ものごとを感じ取る力を引き出したり,企業の商品への細部にわたる緻密なこだわりや開発の秘密に触れたりしながら,
学びを深めていく体験ができました。
参加した子供たちには,このプログラムで学んだことから,さらに探究を深め,自ら学び続けることを期待しています。
過去のプログラムの様子などはコチラ→https://www.pref.hiroshima.lg.jp/site/kyouiku17/learn.html
「LEARN」についてはコチラ→https://learn-project.com/
「東大ROCKET」についてはコチラ→ https://rocket.tokyo/