ひろしまの元気を創るひと

取材を受ける小野さん

ひろしまブランドとは、「元気・美味しい・暮らしやすい」ひろしまをみんなで創る取り組みです。

ひろしまの素晴らしさをみんなで再認識し、誇り、自慢しながら、より良いひろしまを創っていくことを目指しています。

「元気なひろしま」インタビュー

株式会社ATORA 代表取締役 小野 敏史さん

小野 敏史 さん

株式会社ATORA 代表取締役

廿日市市出身。東京のアパレル会社で商品開発やマネジメントを経験後、広島県にUターン。2014年に有限会社seeds、20年に株式会社ATORAを設立し、広島に特化した食品の開発・加工・販売等を手掛ける。

瀬戸内海産魚介の刺身

広島の食の価値を高め生産者の利益に繋げたい

自社で加工した新鮮な瀬戸内産魚介の刺身、地元飲食店で調理されたお好み焼きや中華そば等を瞬間冷凍して「できたての味」を閉じ込め、オンラインで販売しています。また、規格外の県産野菜を活かしたスープ等、農家さんの利益拡大に繋がる商品開発にも取り組んでいます。

県内の生産者や飲食店の方々と協力して作る「少量高品質」の商品を通じて広島の食を国内外に広め、その価値を高めていきたいです。

ATORAのメンバー

Uターンして感じた、広島のポテンシャル

14年間暮らした東京からUターンして感じたのは、広島のポテンシャルの高さ。ものづくりのまちであり、観光資源も豊富。そして「食」に関しては、素材から料理まで専門性の高いプロが生み出す逸品がそろっています。広島に特化した商品を国内外に向けて発信すれば、外貨を得られると思いました。

2014年に創業した有限会社seedsでは、県内食品メーカーのブランディングや商品開発、メイドイン広島の総菜やギフトを販売する通販サイト「カクイチ横丁」の運営等を行っています。

しかし、コロナ禍で飲食店が大打撃を受け、会社の売り上げも激減。商品を卸す先がないため廃棄も増え、農水産業者や食品製造業者、私たちのような流通業者等食に関わる事業者の誰もが苦しい状況にありました。

「生産者と飲食店の橋渡しをする会社を作り、苦境を打破できないか」という考えを同じくした有限会社原田製麺の原田佳典さん(写真左)と2人で、食品の開発・加工を手掛ける株式会社ATORAを2020年に起業しました。現在は私たちに共感してくれた植木脩さん(写真右)もマネージャーとして加わってくれています。

瞬間冷凍の技術

瞬間冷凍技術で広島の美味を国内外に届ける

ATORAの強みは「少量高品質」の商品づくり。広島県内の農家さんがこだわりを持って育てた野菜や肉、卸売市場の方が目利きした瀬戸内産魚介を使った総菜は、全て自社工場で手作りしたものです。保存料等の添加物は使用していません。

商品づくりの要となるのは、液体窒素で食品を瞬間凍結させる最新の冷凍技術。水揚げされたその日に調理した刺身や生牡蠣も鮮度を保ったまま凍結させることができ、解凍後はドリップがほとんど流れ出ず、獲れたての食感と風味を楽しめます。

広島中華そば

この瞬間冷凍技術によって、地元飲食店が作るお好み焼きや広島中華そば等「人気店の味」を国内外のご家庭で楽しんでいただくことも可能となりました。当社の商品を食べて、実店舗に足を運んでくれる観光客が増えるとうれしいですね。

野菜を使った冷製スープ

規格外の野菜に新しい価値を与え、「廃棄」から「利益」へ

ATORAを立ち上げてから、「廃棄になる野菜を活用できないか」と複数の農家さんから相談を受けるようになりました。私自身も出荷されず廃棄される農産物が多いことを知り、この状況を少しでも変えたいと思ったんです。

そこで開発したのが、大きさや形が規格に合わない広島県産のB級野菜を使った冷製スープ「Re soup」。親交のあるフレンチシェフ協力のもと、瞬間冷凍技術を用いて、地元野菜の味わいや栄養分をぎゅっと閉じ込めたスープが完成しました。

今まで廃棄していたものを農家さんの収入源に変えると同時に、知恵と技を貸してくださる料理人の方々にも利益を還元できるビジネスモデルです。生産・調理・加工のプロが協力し合って生み出した商品を消費者の方にも「おいしい」「便利」と喜んでいただき、「三方よし」となることを目指しています。

こうした取り組みが評価され、2022年に広島県が主催する、食の〝稼ぐ力〟モデルの創発支援プログラム「Hiroshima FOOD BATON」にATORAが採択されました。

Hiroshima FOOD BATON

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最大3年間、補助金の支援のある仕組みにはずいぶん助けられましたね。何せ、創業当初は売り上げが立たず、信念だけでやっているような状態でしたから…。新規創業の会社にとっては、経営状況の変化に合わせて、必要なときに資金を確保できることは大きなメリットだと思います。

株式会社瀬戸内百姓 代表 山岡 由明さん

一次産業に携わる協力事業者の声

山岡 由明 さん

株式会社瀬戸内百姓 代表

当社が「怪獣レモン」として売り出している、規格外の瀬戸内産レモンを使ったレモンサワー等を共同開発しています。液体窒素で瞬間冷凍したレモンは、お酒で割ってもフレッシュな風味がキープされていると感じました。

小野さんは瀬戸内の生産者さんが育てるレモンの魅力や、規格外レモンのブランド化に取り組む私の思いを一人ひとりに丁寧に伝えてくれるんです。商品価値を理解して適正価格で購入してくださるお客さまが多く、農家さんの売り上げにも繋がっています。

厨房で話す小野さん

食に携わるみんなが稼げる仕組みを作る

ATORAの冷凍商品は「カクイチ横丁」で販売するだけでなく、首都圏と沖縄県の飲食店約10店舗に卸しています。解凍するだけで新鮮な味、できたての味を提供できる点はもちろん、広島の食材がおいしい理由や作り手の思い、手作りで余計なものを加えていない、といった付加価値も評価されていると感じますね。

ATORAでも広島市内に飲食店『MURO』を構え、自社商品をお客さまに提供しています。私もできるだけ毎日店に立ち、品物の使い勝手やお客さまの反応を確認しつつ、素材や作り手のストーリーを直接お伝えしています。

一次産業にも二次産業にも、広島県には良いものを生み出す「職人」がたくさんいらっしゃいます。経営視点と柔軟な考え方を持った生産者の方々と仕事をする中で、広島の「食」がより活気づく可能性を感じます。今後も、そういった地元の職人さんたちの力になりたいと思っています。

とはいえ、無理に取り組みの輪を広げる気はないんです。「本当に強い商品を作ろう、食に携わるみんなが稼げる仕組みを作ろう」という価値観を共有する仲間の顔を思い浮かべながら事業に臨む姿勢は変えずにいたいですね。

もっと素晴らしいひろしまへ!

豊かで穏やかな風土、平和への想いと行動力はひろしまの誇り。県民一人ひとりが大好きと思えるひろしまの素晴らしさがきっとある。より良いひろしまへ、みんなで創り上げていこう!

ENEGY OF PEACE ひろしま

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