日本脳炎は、蚊を介してブタなどからヒトに感染するウイルス感染症で、感染症法上の四類感染症です。
広島県では毎年、県内における日本脳炎の流行予測を目的として、6月~9月に、日本脳炎ウイルスの増幅動物であるブタの感染状況調査(日本脳炎感染源調査)を実施しています。
令和6年9月下旬に採血したブタの検査結果について、ヒトに対する感染危険性の判断基準を超えたことにより、感染予防のため、注意喚起します。
日本脳炎ウイルスの感染によって起こる中枢神経(脳や脊髄など)の疾患で、東アジア・南アジアやオーストラリア・オセアニアなど広く分布しています。ヒトからヒトへの感染はなく、ブタなどの体内でウイルスが増殖した後、そのブタを刺した蚊(主にコガタアカイエカ)がヒトを刺すことによって感染する蚊媒介性の疾患です。
日本脳炎ウイルスに感染しても、症状が現れずに経過する場合がほとんどですが、症状が出る場合には、1~2週間の潜伏期間の後に、突然の発熱で発症し、高熱をきたすこともあります。頭痛、嘔吐などに続き、意識障害や精神症状など脳炎症状がみられることもあります。
高熱をきたした方や高齢者および幼小児の感染例では重篤化しやすく、回復後にも後遺症を認める傾向にあります。
日本脳炎の流行予測のため、増幅動物であるブタ、特に今年生まれの若いブタの抗体を調査することで、最近の感染状況を把握します。
令和6年6月から9月の期間に計8回、1回につき6カ月齢のブタ10頭、合計80頭のブタについて、血清中の日本脳炎ウイルス抗体を測定しました。
9月25日に採血した10頭のブタについて検査したところ、10頭(100%)から日本脳炎ウイルス抗体が検出されました。
日本脳炎を予防するためには予防接種と蚊の対策が重要です。
日本脳炎の予防接種は定期接種に分類されており、対象年齢の小児は無料で予防接種を受けることができます。また、その他の年代の人についても、任意にワクチンを受けることが可能です。予防接種を受けることで、罹患リスクを75~95%減らすことができると報告されています。
日本脳炎ウイルスの主な媒介蚊であるコガタアカイエカは、日没後に活動が活発になるとされています。屋外に出る際には虫除けスプレーの使用、長袖・長ズボン着用など対策を行い、屋内であっても網戸の利用や窓の開閉を少なくするなど蚊に刺されない工夫をしましょう。