令和4年11月12日,連続講座「頼山陽遺墨選」を開催しました。
講師は当館の花本主任学芸員です。
頼山陽(1780~1832)は,歴史書「日本外史」を記したことで著名な人物であり,また江戸時代後期を代表する能書家の一人として知られています。山陽の書作品は生前から高く評価され,「法帖」が数多く出版されるなど,その書風は流行し,後世に少なからぬ影響を与えました。
講座では,当館茶室に山陽の書を掛け,頼家の書風の特徴や,山陽の書風の変遷についてみていきました。実際に作品を近くで鑑賞することで,写真だけでは中々分からない筆の流れや墨の量などを感じることができます。
山陽の書を若い頃のものから順を追ってみていくと,その書風が変化していった様子を感じることができます。
頼家の書風から脱却し,山陽が独自の書風を確立していく過程を,花本主任学芸員が作品を紹介しながら詳しく説明しました。
同日の午後からは,企画展「青年頼山陽」の展示解説会がありました。
本展では,これまであまり掘り下げられることのなかった頼山陽の青少年期の動向を伝える資料・作品を展示しています。
山陽が5歳の時に着用したと伝えられる裃(かみしも)や,江戸へ向かう道中の旅日記,数少ない謹慎中の書作品など,貴重な資料が多数紹介されています。
企画展「青年頼山陽」は,12月11日(日)までの開催です。若き頼山陽の思いや葛藤を感じていただければ幸いです。ぜひ,この機会にご覧ください。