令和4年6月11日,連続講座「頼聿庵の書」を開催しました。
講師は広島文教大学名誉教授の日比野 貞勝先生です。
頼聿庵(1801~1856)は,歴史書「日本外史」を記したことで知られる頼山陽の長男で,その書は高い評価を受けています。
講座では,当館の茶室に聿庵の書を掛け,参加者のみなさまに作品を間近で鑑賞していただきながら,日比野先生にお話しいただきました。
富士山を見て作った詩を記した書と,謹慎処分を受けた後に心の内を吐き出した書とでは,同じ聿庵の書でもその書きぶりや受ける印象は大きく変わります。
日比野先生は,それぞれの書からどのような印象を受けるか,またその印象はどこからくるのか,参加者と対話をしながら話をされました。
書が持つ力と聿庵の心の動きを感じることができるひと時でした。
同日の午後からは,特集展「頼聿庵の書-大字書の魅力-」の展示解説会がありました。
展示では聿庵の力強く奔放な書きぶりの,晩年の作品を中心に展示しています。
聿庵は,父・山陽が脱藩騒動を起こし,母・淳子が離縁となったため,誕生後すぐに頼家に引き取られ,表向きには祖父・祖母の子どもとして育てられました。
解説会では,こうした聿庵の生い立ち,また書に対する思いや筆遣いの特徴などその魅力について,当館の花本主任学芸員が話をしました。
特集展「頼聿庵の書-大字書の魅力-」は,7月10日(日)まで開催しています。生き生きとした聿庵の書を,ぜひこの機会にご覧ください。