江戸時代後期、周防国台道村の大庄屋であった上田家の庭には延齢と名付けられた一本の松がありました。この松は、寛政9年(1797)2月、薩摩藩の世子虎寿丸(後の藩主斉興、七歳)が初めて江戸に赴く途次、手ずから上田家の前庭に植えたものです。これを大いに喜んだ当時の当主上田堂山は、京都の儒者皆川淇園にそのいきさつをまとめた記文を依頼し、台道に立ち寄った文人墨客や全国の知友に対しても「松」に関する詩歌や文章を求めました。頼山陽や頼杏坪も詩文を寄せています。
やがて大きく育った松は、文政3年(1820)、薩摩藩主となった斉興によって「延齢」と命名されます。その後も、堂山のもとには全国各地から延齢松を詠んだ詩歌が数多く寄せられ、堂山の没後に『延齢松詩歌集』として出版されました。
本展では、上田家伝来の延齢松に寄せられた詩歌などをひもとき、一本の松をめぐって展開された文人墨客たちの営みを通して浮かび上がってくる文雅の交わりとその風雅な世界を紹介します。
【会 期】9月6日(金)~10月14日(月・祝)
【時 間】9時30分~17時(入館は16時30分まで)
【休 館】月曜日(ただし祝休日は開館し、翌平日が休館)
【入館料】一般200円(160円)、大学生150円(120円)、65歳以上・高校生以下は無料
※( )は20名以上の団体料金
【関連行事】
〇展示解説会(解説:当館学芸員)※通常の入館料が必要です。
日時:9月7日(土)・9月21日(土)・10月12日(土) いずれも13時30分~