裁判所以外で労働関係紛争の解決をめざす手続
(労働関係紛争の解決機関は、広島県労働委員会のほかに、次のような機関があります。)
労働局長による助言・指導、紛争調整委員会によるあっせんのご利用 ※無料です。
→県内9か所(広島労働局及び8か所の労働基準監督署)の総合労働相談コーナーで受け付けています。
総合労働相談コーナー(広島労働局内)は、こちらへ(別ウインドウが開きます)
対象となる紛争
- 解雇、雇止め、配置転換・出向、昇進・昇格、労働条件の不利益変更などの労働条件に関する紛争
- いじめ、嫌がらせなど職場環境に関する紛争
- 会社分割による労働契約の承継、同業他社への就業禁止などの労働契約に関する紛争
- 募集・採用に関する紛争(ただし、あっせんでは対象となりません。)
など、労働関係に関する事項についての個別労働紛争です。
(1)労働局長による助言・指導
- 紛争当事者に、個別労働関係紛争の問題点を指摘し、解決の方向を示唆することにより、紛争当事者が自主的に紛争を解決することを促進する制度です。
- おおむね1か月以内で手続が終了します。
- 法違反の是正を図るために行われる行政指導とは異なり、あくまで紛争当事者に対して話し合いによる解決を促すものであって、なんらかの措置を強制するものではありません。
(2)紛争調整委員会によるあっせん
- 紛争当事者間の調整を行い、話し合いを促進することにより、紛争の解決を図る制度です。
- 多くの時間と費用を要する裁判に比べ、手続が迅速かつ簡便です。おおむね2か月以内で手続が終了します。
また、あっせんの手続は非公開です。
- 紛争当事者の間に公平・中立な第三者として、紛争調整委員会の委員(弁護士、大学教授、社会保険労務士などの労働問題の専門家)のうちから3名のあっせん委員が指名されますが、迅速に手続を進めるため、そのうちの1名のあっせん委員があっせんを担当します。
- 双方の主張の要点を確かめ、双方から求められた場合には両者が採るべき具体的なあっせん案を提示します。(紛争当事者間であっせん案に合意した場合は、受諾されたあっせん案は民法上の和解契約の効力をもつことになります。)
- あっせんの手続への参加やあっせん案の受諾が強制されるものではありません。
弁護士会による紛争のあっせん・仲裁のご利用 ※有料です。
広島弁護士会仲裁センター(広島弁護士会)は、こちらへ(別ウインドウが開きます)
- (1) 和解あっせん
仲裁人(弁護士)が、当事者双方の話を聞いて和解解決を試みる手続です。
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- (2) 仲裁判断
仲裁人(弁護士)が、当事者の主張・証拠に基づいて、事件解決の判断を下す手続です。
社会保険労務士によるあっせんのご利用 ※有料です。
社労士会労働紛争解決センター広島(広島県社会保険労務士会)は、こちらへ(別ウインドウが開きます)
労務管理の専門家である社会保険労務士が、個々の労働者と事業主との間の紛争について、紛争当事者の言い分を聴き、適切な和解案を提案し、その後の円満な労使関係を回復するため、あっせんを行っています。
不当労働行為の再審査などについて ※無料です。
中央労働委員会は、こちらへ(別ウインドウが開きます)
労働争議の調整(2以上の都道府県にわたる事件や全国的に重要な問題に係る事件など)、不当労働行為事件の審査(都道府県労委が行った初審命令に不服がある場合など)などを行っています。
裁判所による労働関係紛争の解決手続
裁判所には次のような手続があります。原則として、当事者が裁判所に出頭する必要があります。
裁判所の紛争解決手続については、こちらへ(別ウインドウが開きます)
広島県内の地方裁判所、簡易裁判所の所在地・電話番号は、こちらへ(別ウインドウが開きます)
労働審判(3回以内の期日で、紛争の実情に即した解決を図る手続)
- 3回以内の期日で主張立証が可能であることが前提であるため、紛争の内容があまり複雑ではない場合、また、ある程度柔軟な解決を視野に入れられる場合に、この手続の利用が考えられます。
- 労働審判官(裁判官)と2名の労働審判員(労働関係の専門的知識を有する者)からなる「労働審判委員会」が、3回以内の期日(おおむね2~3か月)で、当事者双方の言い分を聴き、証拠を調べ、紛争の実情に即した審判を出す手続です。
- 手続の中で、調停(話し合いで円満な解決)も試みます。
- 地方裁判所で行います。
- 審判に対して異議申立てがあったときは、訴訟手続に移行します。
- 申立ての手数料は、訴訟の半額程度です。手続は非公開です。
民事調停(話し合いで円満な解決を図る手続)
- 当事者が納得するまで話し合うことが基本なので、実情にあった円満な解決が期待できます。
- 裁判官と民事調停委員からなる「調停委員会」が、当事者の間に入り話し合いで円満に紛争を解決しようとする手続です。
- 簡易裁判所で行います。
- 申立ての手数料は、訴訟の半額程度です。手続は非公開です。
少額訴訟(1回の審理で行う迅速な手続)
- 紛争の内容があまり複雑ではなく、証拠となる書類や証人をその場ですぐに調べることができる場合に、この手続の利用が考えられます。
- 60万円以下の金銭の支払を求める場合に利用できる手続で、原則として1回の期日で審理を完了して直ちに判決を言い渡す手続です。
- 簡易裁判所で行います。
通常訴訟(判決によって解決を図る手続)
- お互いの言い分が食い違い、話し合いによって解決することが難しい場合は、この手続によることが考えられます。
- 裁判官が、法廷で、当事者双方の言い分を聴いたり、証拠を調べたりして、最終的に判決によって紛争の解決を図る手続です。
- 紛争の対象となっている金額が140万円以下は簡易裁判所、140万円を超えれば地方裁判所が事件を取り扱います。
仮処分(判決が出るまでの仮の措置)
- 判決が出るまでの間、給料がもらえないため生活に困るなど著しい損害が生じる場合に、相手方の言い分を聴いた上で、仮の支払などを命ずることを求める手続です。
- 解雇された労働者が、従業員たる地位を仮に定める(地位保全仮処分)とともに、賃金の仮払いを命ずる(賃金仮払仮処分)仮処分を申し立てるのが典型的な事例です。
- 取り扱う裁判所は、原則として、訴訟の場合と同じです。