アスベスト対策に関する緊急要望
アスベスト製品を取り扱っていた企業から,次々と健康被害が報告され,さらには,その実態が従業員だけでなく,家族や工場周辺の住民にも及んでいることから,アスベスト飛散に伴う健康被害が懸念され,多くの県民に不安が広がっております。
このため,本県では,アスベスト対策推進本部を設置し,関係部局連携のもとで,県民相談窓口の開設,アスベスト製品の製造・加工工場への立入検査,県有施設の実態調査などに取り組んでいるところです。
しかしながら,アスベストを原因とする疾病は,発症までの期間が数十年と長く,将来にわたって患者の発生が予想されることから,県民の不安を軽減し安心できる社会にするためには,アスベスト対策の取組をより一層強化していく必要があります。
ついては,国において,国民の安全と安心を確保する立場から,次の措置を早急に講じられるよう,強く要望します。
- 関係省庁が実施している各種相談窓口や自治体の窓口との相互連携を強化するとともに,専門的な相談支援体制を充実すること。
- 周辺住民等の健康被害の実態調査を行い,健康被害を受けた周辺住民等に対する健診,医療費補助等の必要な措置を講じること。
- 悪性中皮腫や肺がんなどとアスベストとの因果関係を早期に究明し,アスベスト関連疾患の早期診断方法や治療法の確立に取り組むとともに,健康障害が救済されるような補償制度を創設すること。
- アスベストを含む建築物の解体,補修に伴うアスベストの飛散防止対策を一層推進するため,対象施設の規模要件の撤廃,建築材料の範囲の拡大,敷地境界基準の設定など「大気汚染防止法」等の規制を早期に拡充するとともに,その監視体制の一層の強化を図ること。
- 国の責任において,アスベスト及びアスベスト含有製品の製品名・製造期間・製造量・含有率などの情報を把握し,速やかに国民及び各自治体に開示すること。
- 建築物における残存アスベストの調査,除去等の対策工事等に対する必要な財政的支援措置を講じること。
- アスベストによる人体への影響等のリスク評価の検討を進め,アスベストについての環境基準や室内環境における許容基準を示すこと。
- 溶融化などアスベスト廃棄物処理の技術開発,処理体制の整備及び民間の施設整備に対する財政的支援措置について,国をあげて取り組むこと。
平成17年9月
広島県知事 藤 田 雄 山
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