オゾン層保護対策

オゾン層とは…

　オゾンは，大気中では地上から約１０～５０ｋｍ上空の上部成層圏に集まっていて，この成層圏オゾンを通常｢オゾン層｣と呼んでいます。
　このオゾン層は，太陽光に含まれる波長２８０～３１５ｍｍの有害紫外線（ＵＶ－Ｂ）を吸収することにより，私たち生物を守ってくれる大切な役割を果たしています。

オゾン層破壊のメカニズムは…

　ＣＦＣ（クロロフルオロカーボン），ＨＣＦＣ（ハイドロクロロフルオロカーボン）などのオゾン層破壊物質は，化学変化を起こしにくい物質であるため，大気中に放出された場合には対流圏（地表～地上約１０km程度）ではほとんど分解されずに，成層圏に達します。
　これらのオゾン層破壊物質が成層圏で分解して発生する塩素原子が，オゾン分子を分解させる触媒として働き，オゾンが連鎖的に分解されるために，オゾン層が破壊されることになります。

オゾン層破壊物質とは…

　フロン類であるＣＦＣおよびＨＣＦＣのほか，ハロン，四塩化炭素，1,1,1-トリクロロエタン，臭化メチルなどがあります。
　なお，フロン類のうち，ＨＦＣ（ハイドロフルオロカーボン）はオゾン層破壊物質ではありませんが，非常に強力な地球温暖化物質です。

オゾン層破壊の影響は…

　オゾン層におけるオゾンの量が減少すると，有害紫外線（ＵＶ－Ｂ）の地上照射量が増大し，皮膚ガンや白内障の増加，さらに免疫抑制などの人への影響のほか，陸生，水生生態系への影響などが懸念されています。

オゾン層の保護対策は…

　国際的に協調してオゾン層保護対策を推進するため，｢オゾン層の保護のためのウィーン条約｣（１９８５年）及びこの条約に基づく｢オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書｣（１９８７年）が採択され，一定の種類のオゾン層破壊物質について生産量などの段階的な削減を行うこととされています。
　我が国では，１９８８年に｢特定物質の規制などによるオゾン層の保護に関する法律(オゾン層保護法)｣を制定して，１９８９年７月からオゾン層破壊物質の生産・輸出入の規制を開始しています。

身近なオゾン層保護対策は…

　私たちの周りには，オゾン層破壊物質が様々な用途に使用されていましたが，生産規制に伴いその大部分は非オゾン層破壊物質などに転換されています。
　しかし，オゾン層破壊物質が充てんされ，現在引続き使用されている機器もあります。

　例えば，　ＣＦＣを冷媒として使用している冷蔵庫や除湿機，冷凍庫，カーエアコン。
　ＨＣＦＣを冷媒として使用しているルームエアコンなど。

オゾン層保護のために，次のことを心がけましょう。

(1)　新しくエアコンなどを購入する時は，できるだけＨＣＦＣやＨＦＣなどのフロンガスが使われていないノンフロン製品を選ぶようにしましょう。
　また，フロンを使用したスプレー商品などはできるだけ使わないようにしましょう。

現在使用中の機器がＣＦＣやＨＣＦＣを使用している場合には，

(2)　ルームエアコンを取り外す際には，ポンプダウン（冷媒を室外側ユニットに集める作業）を行ったのち，配管を撤去するようにしましょう。（この作業を行わないと，エアコン中の冷媒は大気中に放出されてしまします。）

(3)　機器の整備の際には，冷媒を大気中へ放出しないよう，整備事業者に指示しましょう。（別途費用が必要なことがあります。）

(4)　家電製品の廃棄の際には，家電リサイクル券を買って小売店などに引き取ってもらいましょう。
　自動車の廃棄の際には，県・広島市・呉市・福山市に登録された引取業者に引き取ってもらいましょう。

ＨＦＣ（ハイドロフルオロカーボン）は…

　ＨＦＣは，ＣＦＣやＨＣＦＣと同じフロン類ですが，オゾン層破壊物質ではありません。
　しかし，地球温暖化物質であるため，家電リサイクル法，フロン回収破壊法及び自動車リサイクル法では，ＣＦＣやＨＣＦＣと同様に機器の廃棄の際の回収が義務づけられています。
　従って，ＨＦＣについても，オゾン層保護対策と同様の対応が必要です。

オゾン層に関するパンフレット

環境省「オゾン層を守ろう」(2016) (PDFファイル)(3.13MB)

オゾン層ポスター(2016) (PDFファイル)(2.62MB)