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県内の主な干潟の分布状況等

印刷用ページを表示する掲載日2024年9月13日

県内の主な干潟の分布状況等

 1998年から2000年にかけて,県内海域を西部,中部,東部の3海域に区分し,5 ha以上の面積を有する干潟の泥の性状や生息する生物(ベントス)の種類や量を調査した。また,これらの実態把握調査と並行して,干潟が有する有機物に対する浄化能力についても検討を行った。

 県内干潟の総面積は1,024 haで,その内5 ha以上の面積の干潟は西部で19箇所, 中部で12箇所,東部で22箇所存在し,総面積は750haで,全体の73%を占めていた。西部には規模の大きい干潟はほとんど存在しないが,中部の黒瀬川河口,東部の芦田川河口, 松永湾にそれぞれ47ha,87ha,204haの規模の大きい干潟が存在した。

 西部では人工干潟の比率が高く,19箇所中9箇所が人工干潟であった。

 干潟に生息する生物の量は,シルトタイプ(粘土状タイプ)よりも砂もしくは砂+シルトタイプの方が豊富で,シルト含量が重量比で10%以上になるとかなり低下した。

 バクテリアやベントスの呼吸,マクロベントスの成長量,底生藻類の成長量から推定した干潟の浄化量は西部,中部,東部において, 有機物炭素量に換算してそれぞれ117g/平方メートル/年,28g/平方メートル/年,302g/平方メートル/ 年となり水域間で差が認められた。この差は干潟のタイプや生物量の違いに起因していると考えられた。

 水域ごとの浄化能力に干潟面積を掛け合わせて求めた干潟全体の浄化量は2,170 ton/年で,この値は県内全体の海域への有機物流入汚濁量の8.1%に相当していた。

 今回の調査により,広島県内に存在している干潟の実態や,陸上から海域に流入している有機物の汚濁に対して, それらが少なからぬ浄化の役割を果たしていることが明らかとなった。

 現在残されている干潟や藻場はすでにかなり少なくなっており, 浄化以外にも多くの機能や価値を有するこのような貴重な場所は極力保護し,保全していくことが好ましい。また,最近,人工干潟の造成が行われるようになってきたが, 本調査結果からも伺われるように,人工干潟は一般的に構造上不安定なものが多く,生物の種類および量が少ない上に,生息する生物の安定性も悪い。このような干潟は生態学的価値も浄化能も低い。従って,人工干潟の造成については各種の生物が安定的かつ多く住み着けるような構造にすること, すなわち,いかに自然に近いものにしていくかという工夫が今後の重要な課題となる。

5ha以上の面積を有する県内干潟の分布図

 西部海域 中部海域東部海域

干潟ベントス現存量の調査結果

[県内干潟の特性と水質浄化能について(詳細)]

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