再生の手順へ 八幡湿原自然再生事業にかかわる今までとこれからへ
「自然再生推進法」が平成15(2003)年1月1日に施行されました。この法律の目的は、「過去に損なわれた自然を取り戻すために、地域の住民や団体など、さまざまな主体からなる「自然再生協議会」の主導により自然再生を進める」ことです。八幡湿原自然再生事業においても、広島県の公募に応募した9人の個人と8のNPO等の法人のほか、専門家2名、地元住民代表2名、環境省から1名、芸北町(現北広島町)から1名、広島県から3名が参加して「八幡湿原再生協議会」を発足(平成16(2004)年10月)させ、自然再生事業を進めています。
霧ヶ谷湿原は,八幡地区に点在する湿原の一つで,他の湿原を含めて八幡湿原と呼ばれています。湿原には,湿潤な環境の中で生活するたくさんの生き物がすんでいます。こうした湿原は,地形の起伏が激しい日本には面積が少なく,貴重な環境となっています。
霧ヶ谷湿原もかつては湿地植物や小動物がたくさんすんでいましたが,昭和40年代以降に行われた牧場化事業によって急速に乾燥化が進み,現在はノイバラや背の低い樹木のやぶに変わってきています。たくさんの生き物のすみかとなっているこの湿原を再生するため,自然再生事業が始まりました。
湿原を牧草地にするため,水路が掘られ,道路が整備されました。
牧草地時代の霧ヶ谷湿原
牧場化によって乾燥が始まり,湿地性の植物が少なくなってきたこの地域に,以前あった湿原植生を再生します。現在のノイバラやハルガヤ,カンボクなどが繁茂するやぶ状の植生から,ヨシやオタカラコウ,マアザミ,ハンノキなどを中心とした湿地植生に転換することにより,カスミサンショウウオやヒロシマサナエ,ゲンゴロウなどといった湿原を住みかとする生き物が多く見られるようになります。
霧ヶ谷湿原ではこれまでに植物や動物などについて様々な調査が行われました。その結果,乾燥したやぶの中でも,くぼみがあって水がたまるような場所には「湿原のかけら」が残っていることがわかり,水さえ十分にあれば,湿原に戻る可能性が高いと考えられます。
まずは霧ヶ谷湿原の中央を流れるコンクリート三面張り水路の上流部に取水堰や導水路を作って湿原に広く水を廻し,その変化を見守っていきます。それと同時に,この事業によって災害が起こらないように,土砂の流出や水の流量についてモニタリングを行っていきます。これらの結果をみて,災害の防止と湿原の再生の両立を図りながら,さらに下流部の再生について進めていきます。
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