教育の政治的中立について
教育の政治的中立について
教育基本法第14条では,第1項で「良識ある公民として必要な政治的教養は,教育上尊重されなければならない。」と規定したうえで,第2項で「法律に定める学校は,特定の政党を支持し,又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。」と定め,学校の教育活動が一党一派の思想に偏ったものであってはならないことを明らかにしています。
法律上は「学校は」と規定されていますが,学校の構成員である教員は,学校の教育計画に従って教育を行うのであり,その学校教育活動のなかで教員個人が党派的政治教育を行うことも当然禁止されます。
例えば,教員が授業で子どもに対して特定政党のイデオロギーに基づく教育を行うことはもちろん,このような教育を校外,例えば家庭訪問の際に行うことも許されません。
ところで,教員自身が自制しても,教員に大きな影響力を持つ外部勢力がそのような教育を実施させようとする場合には教育の政治的中立性の確保は困難となります。
そのため,教員に強い影響力を持つ職員団体等を通じ,外部から教唆し煽動しようとする者を排除する必要から,「義務教育諸学校における教育の政治的中立の確保に関する臨時措置法」(中確法)が制定されており,このような外部からの違法な圧力に対し,罰則規定により歯止めをかけ,教育職員の自主性を擁護するとともに教育の政治的中立性を確保することとしています。
なお,現在文部省是正指導を受けている広島県教育委員会としては,是正指導の対応を進めるなか,広島県公教育において,いわゆる「教育介入」を排除し「教育の中立性」を確保するため,
1 校長権限を脅かし,教育の中立性の確保が難しいと思われるようなことがある場合は,対応は一切行わないこと。
2 学校は,もしこのような事態が生じた場合は,教育委員会に報告すること。
3 教育委員会は,これらの報告を受けた場合は,毅然とした態度で対応するとともに情報を公開し,県民や地域住民の理解と協力を得て,公教育の確立に努めること。
という県の考え方を示し,市町村において特段の取り組みを進めるよう指導するとともに,県立学校長に対応を指示しているところです。