次世代育成支援対策推進法に基づく広島県教育委員会特定事業主行動計画「職員の仕事と子育て両立支援プログラム」
平成27年4月策定
目次
I 総論
1 基本的な考え方
2 期間
3 公表
4 成果目標
5 その他
(1)対象者
(2)実施状況の点検・公表
II 具体的な内容
1 母性保護,子育て支援に関連する既存の諸制度の活用
(1)制度の十分な周知に向けて
(2)母体と胎児を守るために~妊娠中及び出産後における配慮~
(3)育児休業等の制度を利用しやすい環境の整備等
(4)家族の看護に係る休暇の取得を促進するために
2 男性の育児参画の推進
3 仕事と生活の両立
(1)時間外勤務の縮減のために
(2)年次有給休暇の取得を促進するために
(3)異動に係る人事上の配慮について
4 その他の次世代育成支援対策に関する事項
(1)子育てに関する地域活動に貢献するために
(2)子供とふれあう機会を充実させるために
(3)家庭の教育力の向上のために
(参考)
「次世代育成支援対策推進法に基づく広島県教育委員会特定事業主行動計画」の見直しに関するアンケート調査結果の概要 (PDFファイル)(209KB)
I 総論
1 基本的な考え方
次世代育成支援対策においては,すべての人が,希望どおりに働き,結婚,出産,子育てを実現することができる環境を整え,人々の意識を変えていくことで,少子化と人口減少を克服することを目指す,総合的な政策の推進が重要である。
こうした中,平成15年7月に時限法で成立した次世代育成支援対策推進法(平成15年法律第120号。以下「次世代法」という。)に基づき,10年間の計画的・集中的な次世代育成支援対策の推進が図られてきたところであるが,依然として,少子化の流れが変わり,子供が健やかに生まれ育成される社会が実現したとまでは言えず,平成26年6月,次世代法の有効期限がさらに10年間延長され,取組の充実を図ることとなった。
次世代法の延長を受け,本県においても,次世代法に基づく「次世代育成支援行動計画(計画期間10年)」の前期計画として位置付けられた「ひろしまファミリー夢プラン」を策定し,次の4つの施策に取り組むこととしたところである。
1)広島で結婚・妊娠・出産し,子育てしたいと思える環境整備
2)女性の働きやすさ日本一への環境整備
3)すべての県民が子育てを支える環境整備
4)たくましく健やかに生きる力をもつ子供たちを育成する環境整備
広島県教育委員会では,「知・徳・体」のバランスのとれた子供の育成を目指し,豊かな心の育成の観点から,産科医療機関,広島県助産師会や学校と連携し,高校生等の若い世代に対して,早い段階から子育て,妊娠,出産や不妊等についての正しい知識を普及啓発し,命の大切さや将来親となる自覚,少子化などへの理解の向上を図るための新たな取組を展開することとしている。こういった次世代育成支援にも重要な意味をもつ施策を実施することに加え,事業主としての立場から,職員の子供の健やかな誕生とその育成についても重要な役割を果たしていくことが求められている。
広島県教育委員会は,次世代法第7条の規定に基づき定められた行動計画策定指針及び県行動計画の基本施策を踏まえ,「広島県教育委員会特定事業主行動計画」を策定し,推進してきたところであるが,これまでの取組の成果や課題,次世代法の改正や行動計画策定指針の改正,新たな県行動計画などを踏まえ,仕事と子育てや生活の調和に向けて,計画の見直しを行い,新たな計画名称を「職員の仕事と子育て両立支援プログラム(以下「プログラム」という。)」とした。
また,本プログラムは,平成27年度から平成31年度までの5年間を前半の計画期間とし,制度の周知はもとより,「仕事と子育ての両立」に向けた全職員の意識改革を,積極的に推進するために策定したものである。
2 期間
平成27年4月1日から平成32年3月31日までの5年間を計画期間とする。
また,制度の改正等,特に必要と認められることがあれば,適宜見直しを行う。
3 公表
本プログラムは,県民の方々にも広く知ってもらうため,広島県教育委員会のホームページ「ホットライン教育ひろしま」で公表する。
4 成果目標
【平成31年度までに】
(1)仕事と子育て制度周知率 100%
(2)配偶者出産休暇を取得した職員の割合 100%
(3)男性の育児参加休暇を取得した職員の割合 100%
(4)男性の育児休業を取得した職員の割合 30%
(5)年次有給休暇の取得率 75%(平均15日)
5 その他
(1)対象者
教育委員会事務局,県立学校及び学校以外の教育機関に勤務する職員
※ただし,臨時的任用職員及び非常勤職員については,適用されない制度もあるため,適用される範囲内で,仕事と子育ての両立支援を行う。
(2)実施状況の点検・公表
今後の取組の参考とするため,各職場において管理者(教育委員会事務局,県立学校及び学校以外の教育機関の管理職をいう。以下同じ。)は,「『職員の仕事と子育て両立支援プログラム』実施状況報告書」(別紙1)を作成し,毎年度3月15日までに管理部門(教育委員会事務局管理部総務課及び教職員課をいう。以下同じ。)へ提出する。
管理部門は,各職場から提出された「『職員の仕事と子育て両立支援プログラム』実施状況報告書」に基づき,本プログラムの実施状況について評価・検証を行い,その結果を,毎年度広島県教育委員会のホームページ「ホットライン教育ひろしま」で公表する。
II 具体的な内容
1 母性保護,子育て支援に関連する既存の諸制度の活用
母性保護と子育て支援に関連する制度が十分周知されているとはいえない現状において,そうした制度の積極的な活用に向けては,その基盤として,全職員がこれらの制度を理解した上で,各職場において,お互いに仕事と子育ての両立を支援していくという意識改革あるいは意識の醸成が肝要である。
(1)制度の十分な周知に向けて
➢ 成果目標(再掲)
【平成31年度までに】
仕事と子育て制度周知率 100%
ア 必要な情報の発信
管理部門において,母性保護や育児休業,育児関連の特別休暇など子育て支援に係る各種制度についてまとめた「次世代育成支援に係る諸制度について」を全面的に見直し,より分かりやすくまとめた「仕事と子育ての両立のためのサポートハンドブック」(以下「ハンドブック」という。)を作成の上,広島県教育委員会のホームページ「ホットライン教育ひろしま」などを活用して提供するとともに,制度改正の際には内容を更新するなど,適宜必要な情報を発信する。
管理者は,ハンドブックにおいて紹介されている制度の内容の熟知に努める。
職員は各種制度の内容について,理解に努める。
イ 研修等の開催
管理部門は,管理者を対象とした研修や会議の中で,本計画やハンドブックを活用し,制度の内容についての周知を図るとともに,職員の仕事と子育ての両立が図れるような職場づくりについて啓発する。また,新規採用職員に対し,初任者研修において,制度の周知に努める。
(2)母体と胎児を守るために~妊娠中及び出産後における配慮~
ア 妊娠中の女性教員の母体保護を図るため,体育実技に係る補助員や特別支援学校妊娠教職員,妊娠養護教諭の補 助員の制度の周知を図り,適切に措置されるよう努める。また,出産休暇中又は育児休業中については,女子教職員の出産に際しての補助教職員の確保に関する法律(昭和30年法律第125号)又は地方公務員の育児休業等に関する法律(平成3年法律第110号)等の規定に基づき,臨時的任用職員,任期付職員の配置を行う。
イ 管理者は,妊娠中の女性職員の健康や安全に配慮する観点から,当該女性職員の状況にあわせ,業務分担や校務分掌について,適切な配慮を行う。また,出張への配慮,床の配線カバーの点検,執務・移動スペースの確保,さらには体調への気配りなど,母体及び胎児の健康保持に配慮した措置を講じる。
ウ 管理者は,母体,胎児の保護及び健康管理のために設けられている特別休暇(出産休暇,妊娠障害休暇,通勤緩和休暇,妊産婦健診休暇)等についての周知徹底を図るとともに,これらを利用しやすい雰囲気や環境を職場全体で整える。
(3)育児休業等の制度を利用しやすい環境の整備等
ア 育児休業等の制度の利用促進
育児休業,育児短時間勤務又は部分休業の制度の利用を促進する観点から,育児休業手当金の支給等の経済的支援を含め,制度の周知や取得手続等についての情報を提供する。
イ 育児休業中の職員に対する支援
管理部門は,育児休業中の職員が育児に専念できるよう十分に配慮しつつ,円滑に職場へ復帰できるよう,「育児休業から安心して復帰するための研修」の充実を図る。また,管理者は,当該研修について周知を図るとともに,職員の希望とその状況に応じて,業務の状況や職場の様子などについての情報の提供に努める。また,育児休業中の職員が連絡を取りやすいような環境づくりに心がける。
ウ 復帰した職員に対する支援
育児休業から復帰した職員は,業務に慣れるのに一定期間を要する上,子どもが急に体調を崩した場合等,予期しない休暇を取得せざるを得ない場合もある。仕事と子育ての両立のために最も大切な時期であるため管理者は,業務分担や校務分掌などへの配慮を行うとともに,日頃から声をかけたり,悩みの相談に応じたりするなど,職場全体で支援する。また,復帰した職員に対して職場研修を行う等,円滑な業務遂行に必要なサポートを行うよう配慮する。
(4)家族の看護に係る休暇の取得を促進するために
ア 管理者は,子供を看護する際に取得することができる休暇について,その取得要件などを周知するとともに,子供の突発的な病気等の場合に休暇を必要とするときは,100%取得できるよう努める。
イ 子育てを行う職員は,周囲の職員,特に副担当とコミュニケーションを図ったり,担当業務について簡易マニュアルを作成するなど,急な休暇でも業務に支障が生じない手立てを日ごろから講じておく。
2 男性の育児参画の推進
固定的な性別役割分担意識(例えば「子育ては女性に任せておけばよい」といった意識)を是正し,男性職員に対して積極的に子育てに関わろうとする意識の醸成を図るとともに,男女が協力して子育てを行うことができるよう,男性職員が育児休業等の制度を利用できることの周知徹底を行い,育児休業等の制度を利用しやすい職場環境づくりに努める。
➢成果目標(再掲)
【平成31年度までに】
(1)配偶者出産休暇を取得した職員の割合 100%
(2)男性の育児参加休暇を取得した職員の割合 100%
(3)男性の育児休業を取得した職員の割合 30%
1) 管理者は父親になる職員に対し,配偶者出産休暇(3日間)及び育児参加休暇(5日間)に係る「子育て職員カード」(別紙2)の作成を求め,提出を促す。
2) 父親となる職員は,改めて家族の中での役割分担を考えるとともに,休暇の取得を積極的に考え,出産予定日のおおむね8週間前(多胎妊娠の場合は14週間前)までに,子育て職員カードを管理者に提出する。また,記載内容に修正の必要が生じた場合は,管理者と連携の上,適宜修正を行い,休暇等取得後は実績を記入する。
3) 各職場においては,こうした取組などを通じ,父親となる職員が配偶者出産休暇及び育児参加休暇を必要とするときは,100%取得できるよう努める。
3 仕事と生活の両立
時間外勤務の縮減や年次有給休暇の取得促進など総実勤務時間の短縮については,職員の健康や福祉,公務の効率的な運営の観点から,これまでも重要な課題として取り組んできたところであり,引き続き個々の職員の意識を高めるとともに,家族の時間や私的活動の時間を大切にできる職場風土をつくることが求められている。
とりわけ,子育てを行っている職員が,もっと子供とふれあう時間を持ち,潤いのある生活を実現し,子育て環境の改善を図るためにも,こうした観点からの取組を,より積極的かつ継続的に進めていく必要がある。
(1)時間外勤務の縮減のために
ア 業務の工夫・効率化
1) 教育委員会事務局においては,調査等の精選を図るなど各職場における事務の負担軽減や効率化に努める。
2) 管理者は,一部の職員に過重な負担がかからないように,適正な業務分担や校務分掌を整えるよう努め,職員の業務遂行の状況を的確に把握し,適切に管理するとともに,業務の必要性や実施方法等について,定期的に再点検を心がける。さらに,新たな業務等を行う場合においても,既存の業務等との関係を整理するなど,業務の効率化に努める。
3) 職員は,仕事と生活の調和が重要であることを自覚し,一人一人が担当業務について,簡素化・効率化に向けて創意工夫に努める。
イ 時間外勤務を少なくする意識の醸成
1) 職員は,日ごろの仕事において,スケジュール管理や事務処理の優先順位付けをするなど,一人一人が効率的な業務の遂行に努めるよう意識する。
2) 管理者は,職員が退庁,退校しやすい職場全体の雰囲気づくりに努めるとともに,職場の時間外勤務縮減に向けた自己の意識向上を図る。
(2)年次有給休暇の取得を促進するために
➢成果目標(再掲)
【平成31年度までに】
年次有給休暇の取得率 75%(平均15日)
ア 年次有給休暇は,毎年一定の日数の有給休暇を与えることによって,職員の心身の疲労を回復させること等を目的としたものであるが,仕事と生活の調和や家族とのふれあいを図るためにも重要な意義を有するものである。このため,職場の意識改革や業務の工夫・効率化に努めるとともに,あらかじめ主務担当者の業務の代わりができる副担当を定めておき,主務担当者と日頃から情報交換を行うなど,職員同士がお互いに気兼ねなく休める雰囲気や環境をつくることが大切である。
イ ゴールデンウィーク期間や,県立学校においては長期休業期間中には,休暇計画表を作成し,年次有給休暇の計画的な取得を働きかける。
ウ 各職場においては,こうした取組を通じ,年次有給休暇の年間平均取得日数が15日以上となるよう努める。
(3)異動に係る人事上の配慮について
ア 管理者は,人事異動個人調書についての面接等の際に,職員の子育ての状況や,これに伴う希望を確認する。
イ 管理部門は,人事異動個人調書等をもとに,人事上の配慮についての検討を行う。
4 その他の次世代育成支援対策に関する事項
(1)子育てに関する地域活動に貢献するために
管理者は,スポーツや文化活動など,子育てに関する地域活動に職員が参加しやすい職場の雰囲気づくりに努める。
(2)子供とふれあう機会を充実させるために
各職場においては,公立学校共済組合や教育職員互助組合が実施する各種の家族参加型事業の周知を図るとともに,そうした事業に職場としての参加を計画するなどにより,子供とふれあう機会の充実に努める。
(3)家庭の教育力の向上のために
家庭の教育力の向上を図る上で,親が,親としての学びや経験を通じ,家庭教育についての理解を深めることが重要である。このため,管理部門は,教育委員会事務局担当課と連携し,県又は市町が実施する家庭教育に関する学習機会や相談事業についての情報提供を行う。
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