平成27年度 第1回教育改革推進懇談会
平成27年度 第1回教育改革推進懇談会の概要
1 懇談会の趣旨
教育委員に現場の実情や課題,優れた取組等に関して幅広く把握していただき,教育委員会会議における審議をより活性化させるため,第一線で活躍している有識者との意見交換会を実施する。
2 日時及び場所
平成27年7月10日(金曜日) 9時00分~10時30分
教育委員会室
3 出席者
広島県教育委員会委員 5人,教育長 1人
有識者 2人
4 テーマ
特別支援教育について
5 主な意見の概要
〇 特別支援学級に関係する教員には,児童生徒それぞれの障害の種類・程度に即した教育の専門性が求められている。しかし,地域によっては,経験の少ない教員が配置されたり,担当教員の異動などにより,保護者が望むレベルの教育を長期にわたって維持することが難しい状況があると思う。特別支援教育に理解のある管理職の配置や環境設備,研修の実施などが必要である。
〇 特別支援学校に進学することで,将来,児童生徒が一般企業へ就労するために,勉強したり,いろいろな技術や学力を身に付けた方が良いと思う反面,児童生徒自身の地元の学校に進学するのではなく,特別支援学校に進学するということを望まない保護者もいるというジレンマがある。
〇 周りの児童生徒が障害者を見る目についても大事だと思う。そういった意味でも,特別支援学級に携わったことのない教員にも,特別支援教育に対する基礎的な知識は持っていてほしい。
〇 保育園,幼稚園といった就学前の段階で,教室でうまく授業を受けられないといった,発達障害の傾向にある子供がいる。大きく二つあると思うが,LDやADHD傾向があり授業妨害する子供と,パニックになって何も言えない子供である。後者は,見過ごしがちということが問題にある一方,前者は,声をかけて教育センターの教育指導教室に通わせるといった対応をしている。しかし,そこにつながる子供もわずかであり,必ずしも教育委員会との連携が取れていないということを,保護者も悩んでいるところがある。東広島市の場合,就学前の健診で発達障害の質問紙を用意し,5歳児健診ではなく,就学時健診の段階で保護者から情報を得ている。これを教育委員会と情報共有することで,就学前からの対応が可能となっている。こういった体制が整っていれば,学校の方もやりやすいのではないかと思う。
〇 発達障害であると認定できても,保護者の理解を得られず,その子供に適した教育ができない場合がある。こういったとき,学校を挙げて教員の意識を高め,通常学級でも支援学級でも子供たち一人一人を支援していくことで,保護者と話がしやすくなる。そこで,お子さんにはこういう問題,課題がありますよと言うのではなく,こういう手だてをしたら,こんなに良くなるので,だとしたら,もう少し専門家の意見を聞くともっと良くなる可能性があるのではないでしょうか,と言うことで成果が出てくるのではないかと思う。
〇 高等学校においても,特別支援教育の考え方を学校教育自体に出していくことで,生徒全体の質が向上してきたというものがある。卒業時点の力が入学時点の力を上回る高等学校と,変わらない高等学校,下回る高等学校がある。その一番大きな要因は,学校の教員自体が諦めていること。どうせ,こういう生徒だから,これぐらいにしかならないだろうとやっているのと,中学校で付けられてきた,いろいろな基本的な教育姿勢がバラバラだということ。それに対応するため,オリエンテーションを行い,授業をどういうふうに受けて,ノートをどういうふうにとって,どのようにやっていくのかという基本を,2週間一生懸命,集団行動も含めて,しっかりトレーニングしてからスタートすると,静かな授業ができる学校に一変する。学校によるので,2週間はちょっと長いかもしれないが,やはり,中学校それぞれから来ている生徒を一致して見るためには,しっかりコミュニケーションをとることが必要なのではないか。
〇 これまで,特別支援学校に通わせず普通の学校に通わせるという風潮があったが,今は特別支援学校に通う生徒数が年々増えている。特別支援学校と社会の接点が広がってきたことで,就活も含めて,そちらへ行った方が子供のためになるだろうという理解が深まってきたためだと思う。
〇 特別支援学級の担任,あるいは通常学級の担任の専門性が高いと,その学校全体が非常に安心して相談できますという状態になるので,特別支援学級にどのような人材を配置するかということは,いろいろなメッセージになると思う。
6 資料
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