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国重要有形民俗文化財「江の川流域の漁撈用具」

漁撈用具の写真1 漁撈用具の写真2

 広島県立歴史民俗資料館は広島県北の風土を特徴づける江の川を民俗分野の主要テーマとし、様々な営みの中で川と最も結びつきの強い、川漁に生きる人々の姿を「江の川の漁撈文化調査」として長年追いつづけてきました。
 その一環として収集した2,200点以上にのぼる漁撈関連資料のうち、漁撈用具1,226点と漁場関連資料27点が「江の川流域の漁撈用具」として平成11(1999)年12月に国重要有形民俗文化財の指定を受けました。
 川漁用具としては荒川(埼玉県)、最上川(山形県)に次いで全国で3例目、西日本では初めての指定となるこのコレクションは、広島・島根両県にまたがる江の川流域全体の歴史的変遷や文化的特色を背景に調査・収集し,体系的に整理したもので、江の川だけでなく、日本の漁撈文化を理解するうえで貴重な資料です。
 また、収集資料に対しては「きちんとした民俗調査により、物の背後にある伝承などが,一点一点についてしっかり押さえられており、我々の先輩たちがどういうふうな思いをして生活してきたか、それぞれの地域の生活に即した工夫などが分かる」と文化庁をはじめ多くの関係者から高い評価をいただくことができました。
 「江の川流域の漁撈用具」の国重要有形民俗文化財指定を契機に、更により多くの方々に川の文化への興味と関心を持っていただくとともに、川漁を生業としてきた人々が厳しい差別の中で「技」と「知恵」を積み重ねて作り上げてきた漁撈文化に対して正しい理解を深めていただきたいと願っています。
 また、今後も個々の資料の背後にこめられた「生きざま」や「思い」を明らかにする「江の川の漁撈文化」の調査研究を継続し、国民の財産であるこのコレクションを保存管理しながら、広く活用を図っていきたいと考えています。