【漢詩「花月吟 第一首」(『花月吟』)】
〔原文〕 〔訓読〕
一春花月動相睽 一春の花月 動(やや)もすれば相睽(あいそむ)く
何夜花梢見月棲 何(いず)れの夜か 花梢(かしょう) 月の棲(いこ)うを見ん
吟月遅花寒剪剪 月に吟(ぎん)して 花を遅(ま)てば 寒(かん) 剪剪(せんせん)
坐花望月雨凄凄 花に坐(ざ)して 月を望(のぞ)めば 雨 凄凄(せいせい)
月中私擬催花詔 月中 私(ひそか)に擬(ぎ)す 花を催(もよお)すの詔(しょう)
花上誰懸取月梯 花上 誰か懸(か)けん 月を取るの梯(てい)
願得花園常貯月 願わくは 花園(かえん) 常に月を貯(たくわ)え
花朋月侶毎招携 花朋(かほう) 月侶(げつりょ) 毎(つね)に招携(しょうけい)するを得(え)ん
〔意訳〕
ひと春の間の花と月はともすれば、互いにそっぽを向いてしまう。
いつの夜なのか?花の梢(こずえ)に月が憩(いこ)うのを見るのは。
月に詩を詠(うた)いながら花が咲くのを待てば、さっと風が吹いて寒い。
花の前に座って月を見上げれば、雨が降ってきて寒い。
月光の中で,私はこっそり花に咲くよう命令を下すふりをするから,
花の上に,誰か月を取る梯子(はしご)をかけてくれないだろうか?
願わくば、花園に常に月を収めておき、
花見の友も月見の友も、いつも一緒に招待したい。