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石棒(せきぼう)

【サイズ】
長さ36.2cm,最大径6.1×5.6cm,重さ約2.1kg

【解 説】
〇この石棒は,大正時代に福山市駅家町大橋の水田から見つかったもので,縄文時代のものと推定される。

〇この石棒は,一端はくびれを入れて径5cm程度の球形にしている。また,もう一端は斜めに割りとってヘラ状に仕上げ,曲面には四角形や直線を用いた渦巻き文様等を組み合わせた線刻を施している。

〇石棒は,縄文時代中期から後期にかけて盛行し弥生時代前半期まで使用される石製品で,男性器を模した形状から,子孫繁栄の儀礼等に用いられたと考えられている。分布の中心は東日本で,西日本からの出土は少ない。

〇広島県内からは,11点の石棒が出土しているが,完全な形を保っていたり線刻を施したりしているものは少なく,瀬戸内海沿岸地域の縄文文化を考える上で貴重である。なお,この石棒は,当館の通史展示室にて展示公開されている。

【参考文献】
脇坂光彦,小都隆「福山市駅家町大橋竹の迫出土の石棒」『地歴』第5号 広島県立府中高等学校生徒会地歴部 昭和52年(1977)
小林青樹編『縄文・弥生移行期の石製呪術具1』国立歴史民俗博物館春成研究室 平成12年(2000)

石棒(全体)画像
石棒(全体)

石棒接写画像
石棒(部分)