水質汚濁の状況について,平成19年度の水質環境基準の達成状況をみると,カドミウムなど人の健康の保護に関する環境基準は,すべての公共用水域で達成されています。
生活環境の保全に関する環境基準について, その代表的な指標であるBOD(生物化学的酸素要求量)及びCOD(化学的酸素要求量)をみると,河川のBODについては90%,湖沼のCODについては63%,海域のCODについては29%の水域で環境基準を達成しています。(図1)
図1 環境基準達成状況の推移
資料:県環境保全課
注)達成率 = (環境基準達成水域数/環境基準類型指定水域数)×100
湖沼については,平成13年3月に3水域(土師ダム貯水池,弥栄ダム貯水池,小瀬川ダム貯水池),平成17年4月に2水域(三川ダム貯水池,八田原ダム貯水池),平成18年3月に3水域(渡之瀬ダム貯水池,温井ダム貯水池,帝釈川ダム貯水池)が類型指定されている。
公共用水域の水質の状況を常時監視するために策定した平成19年度水質測定計画に基づき,河川38水系237地点,湖沼8水域8地点,海域6海域72地点について水質測定を実施しました。その結果は次のとおりです。
人の健康の保護に関する項目(カドミウムなど26項目)については, 146地点(河川33水系102地点,湖沼4水域4地点,海域6海域40地点)で5,953検体を調査しました。その結果,全地点で環境基準を達成していました。(表1)
生活環境の保全に関する項目(BOD,COD等9項目)については,317地点(河川237地点,湖沼8地点,海域72地点)で調査しました。
環境基準の類型指定がある238地点(河川165地点,湖沼8地点,海域65地点)についてみると,不適合率(環境基準値を超える検体数/調査対象検体数)は,河川18%,湖沼24%,海域17%であり,過去4年(平成15~18年度)の平均と比べて,河川,海域ともにほぼ横ばい傾向にあります。また,湖沼については,富栄養化が進み対策を講じる必要のある3つのダム貯水池を新たに類型指定しています。(表2,表3,表4)
湖沼の全窒素については2地点,全燐については8地点で調査しました。その結果,環境基準の不適合率は全窒素は100%,全燐は45%でした。(表5)
また,海域の全窒素・全燐については,50地点で調査しました。その結果,環境基準の不適合率は全窒素12%,全燐13%でした。(表6)
環境基準の類型が指定されている河川82水域,湖沼8水域,海域14水域について,それぞれBOD,CODの環境基準の達成状況をみると,達成率は河川で90%,湖沼で63%,海域で29%であり,過去4年(平成15~18年度)の平均と比べてみると,すべての達成率が上がっています(表7)。
また,全窒素及び全燐の環境基準の類型が指定されている湖沼8水域,海域9水域について,環境基準の達成状況をみると,達成率は湖沼で全窒素0%,全燐50%,海域で全窒素89%,全燐100%でした。
(表8)
県内の海域及びダム貯水池においては,生活排水等の流入による窒素・燐濃度の上昇(富栄養化)が原因となって植物プランクトンが繁殖し,赤潮等の漁業被害や水道水源の利水障害が発生しています。
このため,海域及びダム貯水池の主要地点において,窒素・燐の水質測定を実施しました。
各水域における年平均値は,全窒素0.09~1.2 mg/l,全燐0.017~0.056 mg/lでした。安芸津・安浦地先,燧灘北西部は比較的良好な水質を維持していますが, 広島湾,備讃瀬戸の各海域は富栄養の状態にあります。(表9)
貯水量1,000万m3以上のダム貯水池の測定の結果,全窒素の年平均値は0.29~0.87 mg/lの範囲内にあり,全燐の年平均値は0.007~0.034 mg/lとなっています。
ダム貯水池別では,弥栄,立岩,樽床,王泊,温井,高暮の各ダム貯水池は比較的良好な水質を維持していますが,土師,三川,八田原,帝釈川,灰塚の各ダム貯水池は富栄養の状態にあります。(表10)