広島土砂災害発生の際,八木地区に伝わる大蛇退治の伝説が,過去に起きた土砂崩れが伝説化したものではないかと指摘され,かつて「蛇落地悪谷」という地名が存在したことが報じられた。
辻氏は,この大蛇退治の伝説を記した『陰徳太平記』をもとに昭和28年(1953)5月にこの作品を発行した。地元の郷土史家で安佐町史の編さんにも携わった植田静人氏の収集文書に含まれており,植田氏の添削が書き込まれている。
この中で辻氏は,大蛇の首が落ちた辺りをかつては「蛇落地と称してゐましたが,後に語路によつて上楽地と書き改められました」(赤線部分)と記している。