当センターであった日々の出来事等について,ご紹介していきます。
先日,首輪付きの犬が迷子になっていました。
おとなしい犬で,首輪付近を触っていると,首輪とは別に「チョーカー」(アクセサリーの一種)を付けており,
←首元についているのが「チョーカー」です。
そこには犬の名前と,飼い主さんの「携帯番号」が記されていました。
その番号に電話した結果,無事に飼い主さんの元に返すことができました。
安堵のためか飼い主さんの目には涙が見えました。
迷子になった原因は,リードの繋ぎ目の金具がはずれていたことでした。
なぜ!無事に帰ることができたのでしょうか。
理由は2つあると思います!
1つは「飼い主さんが誰であるかわかるものを,その犬が身につけていたこと」です。
飼い犬が迷子になった時,犬は自分の住所などを言うことはできません。
だからこそ,飼い犬には飼い主さんが誰であるかわかるものを身に付ける(いわゆる所有者明示と言います)
ことが必要です。
所有者明示の方法としては,迷子札の装着等があります。
迷子札には飼い主さんの電話番号などを記してください。
犬鑑札,狂犬病予防注射済票の装着(狂犬病予防法による義務)も所有者明示となります。
マイクロチップの挿入も所有者明示の一つです。
マイクロチップは,直径約2mm,長さ約12mmの円筒形の電子標識器具で,飼い犬の体の中に埋め込むものです。
首輪が外れて迷子になった時に,マイクロチップを挿入していると飼い主さんを捜すことができます。
飼い犬には所有者明示をしましょう!
2つは「適正なしつけがされていたこと」です。
もし,この犬を保護しようとした時,人に対して威嚇をしたり,吠えたり,咬んだりといった行動が見られていたら,
簡単に保護することもできず,また,首輪に装着してあるチョーカーを見つけることもできなかったかもしれません。
だからこそ,飼い主さんだけでなく,他人が触っても大丈夫な飼い犬にすることは大切だと思います。
そのためにも基本的なしつけは必ず毎日行ってください。
けれども,一番大切なのは迷子にしないことです。屋内で飼っている人は戸締りを確認してください。
屋外で飼っている人はリードと首輪が緩んでいないかこまめに確認してください。
大切な飼い犬を守ってあげられるのは飼い主さんだけです。飼い主さんの責任をしっかり果たしてください。
センターでは,毎月末の水曜日に社会化期にある子犬の飼い主を対象として,
パピーパーティー(しつけ方教室)を実施しています。
この“社会化”という言葉に耳慣れない方もいらっしゃると思います。
社会化とは,生後3週から16週の「社会化期」と呼ばれる子犬の時期に,
「人や動物,環境や生活音など,これから出会うであろう様々な刺激に対してうまく慣らしていくこと」です。
幼いころから様々な経験をさせることで,あとあと“雷でパニックになる”,
“男性(女性)のみにしか慣れない”等の問題行動を起こさないようになります。
今回は,センターで実施しているパピーパーティーの内容をご紹介したいと思います。
1 大好きなおやつを食べながら,日常生活の中で遭遇する車や雷などの音を聞かせていきます。
最初は小さな音できかせ,反応をみながら徐々に音を大きくしていきます。
子犬達はおやつに夢中になっているので,音に対して“怖い”や悪いイメージがつきません。
2 同様に,見慣れない物や知らない人等に慣れさせていきます。
3 完全にリラックスしてきたところで,その他の参加犬やセンターのモデル犬ともごあいさつしていきます。
5 問題行動の予防と対処法
その他にも,飼い主さんが愛犬のことで“困っていること”に対して,アドバイスを行っていきます。
生後,一か月程度の早い時期に母犬から引き離されたり同年代の子犬と会う機会がなかったりすると,
犬や人間社会に上手く馴染めず,問題行動を起こす原因となります。
将来,飼い主さんも犬もストレスが少なく幸せに暮らしていくため,地域で可愛がられる犬になるためにも,
パピーパーティーを良い機会にしていただきたいと思います。
ちなみに,12月のパピーパーティーには参加2回目の方もいらっしゃいました。
初回に比べ,飼い主さんが困っていたことに対しての改善もみられ,
熱心にしつけに取り組まれた成果を感じました。
次回のパピーパーティーは1月29日(水曜日)の開催です。
1回だけではなく2回,3回との参加も受け付けていますので是非ともご参加お待ちしております。
なお,パピーパーティーは予約制ですので前日までに当センターへご連絡をお願いします。
詳細は家庭犬のしつけ方教室を,ご覧ください。
また,6か月以降の犬に関しては‘困っていること’等あれば個別にご相談を受け付けております。
今,センターには,とても人懐っこい猫(キジトラくん)がいます。このキジトラくん,覚えていますか?
先日までHPで,迷い猫として飼い主さんを探していましたが,飼い主さんは現れませんでした。
しかし,とても性格がいい猫なので,センターで新しい飼い主さんを探すために,検便と病気の抗体検査(猫白血病と猫エイズ)を行いました。
病気の抗体検査は陰性(かかってない)でしたが,検便の結果「マンソン裂頭条虫卵」が見られました。
この「マンソン裂頭条虫」は,きし麺のような形をした1~2mくらいの長さで腸に寄生虫します。いわゆるサナダムシ(条虫)の仲間です。
少数寄生では無症状ですが,多数寄生の場合,慢性的下痢,消化障害,栄養不良,異食症といった症状が出ます。
また,人に感染すると,頭蓋内,脊髄などに寄生し,周辺組織の圧迫,壊死による重篤な障害を引き起こすこともあります。
ただし,猫の便に含まれるマンソン裂頭条虫卵が誤って口に入っても,人に感染することはありません。
幸い,キジトラくんには目立った症状はなく,今も元気にしています。
↑マンソン裂頭条虫
では,なぜマンソン裂頭条虫に寄生されてしまったのでしょうか。
原因として考えられるのは,マンソン裂頭条虫に寄生されたカエルやヘビを食べたことです。
このキジトラくんはおそらく,前の飼い主のもとで,屋内・屋外を自由に行き来できる環境で飼育されていて,屋外にいる時にカエルやヘビを食べたのだと思います。
先ほども述べましたが,マンソン裂頭条虫は犬・猫に様々な症状を引き起こす厄介な寄生虫です。
また,マンソン裂頭条虫以外にも,猫に寄生する寄生虫はたくさんいますし,恐ろしい感染症などもあります。
猫を屋外へ出すと,これらの寄生虫や感染症にかかってしまう他,交通事故などによる怪我や死亡,迷子になってしまう恐れもあります。
当センターでも,飼い猫の行方不明の問い合わせが後を絶ちません。
「いつも帰ってくるから」と飼い主さんが外に出した結果,今年度だけで100匹を超える猫ちゃんが行方不明になっています。
無事に帰ってきたのは,その中のごく一部です。
このような恐ろしいことから飼い猫を守るためにも,室内飼育の大切さを理解していただき,飼い主さんには完全室内飼育の徹底をお願いします。
現在,キジトラくんは治療中です。治療が終了したら譲渡猫にする予定です。
譲渡猫になった時はHPに掲載しますので,見てみてください。
今までは外でサバイバル生活だったけど,これからは家の中で幸せに生きるよ!