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令和5年度 近世文化展示室

◆ 菅茶山の世界
 江戸時代後期を代表する漢詩人で、儒学者・教育者の菅茶山(かんちゃざん)や、茶山と関係した人々が作成・収集を行った学問・文芸・芸術に関する資料である「重要文化財菅茶山関係資料」を公開し、近世の歴史・文化を紹介します。
​「重要文化財菅茶山関係資料」へのリンク⇒​「重要文化財菅茶山関係資料」


◆ 守屋壽コレクション
 令和2年10月に当館に寄贈された​国内最大級の古地図を核とする歴史資料群「守屋壽コレクション」を常設展示しています。
「守屋壽コレクション」へのリンク「守屋壽コレクション」

どちらも資料は2か月ごとに入れ替えます。

♦特集展示「菅茶山と考古関係資料」【終了】
  会期:2月2日(金)~3月31日(日)

展示の概要

菅茶山は、福山藩の第5代藩主・阿部正精(まさきよ)の命で、福山藩の地誌である『福山志料』の編纂(へんさん)を担当しました。
その過程で、茶山は藩内で出土した考古遺物について調査しています。
また、漢詩人として全国に名を馳せ、各地の文化人と交流した茶山のもとには、しばしば藩外で出土した考古遺物に関する情報がもたらされました。
この展示では、茶山が入手した考古遺物、出土品の模写図や拓本などの考古関係資料を紹介します。


展示資料一覧 (PDF)


展示資料の御紹介

環状須恵器図の画像
「環状須恵器図(かんじょうすえきず)​
(江戸時代後期)(重要文化財 菅茶山関係資料 当館蔵)

安芸国豊田郡の伊多名部山(いたなべやま)(現在の板鍋山(東広島市))で出土した、環のような形をした水筒の一種(提瓶)の実寸大スケッチです。
この資料の右側には、「輪ノ内水ヲ合(あわす)コト凡(およそ)七、八夕(せき)(提瓶の輪の中に入る水の量は、約0.13~0.14リットル)」と書かれています。
今となっては、実物に水を入れて試すことができないため、これは貴重な情報です。
じつは、当館の通史展示室で複製品を展示しています!!
どこに展示してあるか探して、見比べてみてくださいね♪

 

♦守屋壽コレクション「ペリー来航と幕末」【終了】
  会期:2月2日(金)~3月31日(日)

展示の概要

19世紀に入る前後から、日本列島近海に欧米諸国の船が出没し、日本は欧米列強に対する関心・警戒が高まるようになりました。
​そのような中、ペリーは嘉永6年(1853)6月、アメリカ合衆国大統領の親書を持って幕府に開国を求めて来航しました。また、同年7月にもロシア使節プチャーチンが長崎に来航しました。
このペリーの来航以降、日本は幕末という、大きな転換期を迎えることになります。
​今回の展示では、ペリー一行が見た日本や東アジアの風景画を特集するほか、ロシア使節プチャーチンに関する資料などを紹介します。


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展示資料の御紹介

箱館柳野新築陣営之図
「箱館柳野新築陣営之図(はこだてやなぎのしんちくじんえいのず)​​」
( 安政3年(1856))​(守屋壽コレクション・当館蔵)

この画像は、安政4年(1857)に着工した箱館五稜郭(ごりょうかく)の平面図です。
​榎本武揚ら旧幕府軍が立てこもり、倒幕軍と最後の戦いをした五稜郭は、箱館の町中にあった箱館奉行所を防衛上の観点から郊外に移したもので、その際に西洋式の城郭のデザインが採用されました。
実際には、財政難のため当初の設計どおりには建設できず、外側部分が省略されました。
そのため、軍事上の防御機能は制限され、政庁としてのみ利用されました。
このことから、完成後ではなく、当初の設計図を写したものとみられます。

 

♦特集展示「長寿を寿ぐ」【終了】
  会期:12月1日(金)~1月28日(日)

展示の概要

日本では中国の風習にならい、奈良時代頃から宮中を中心に長寿を祝う儀式が行われていました。
江戸時代にはこの風習が広く民衆にも定着し、それは還暦のお祝いなどとして現在でも行われています。
80歳まで生きた菅茶山のもとには、全国各地の文化人から長寿を祝う贈り物が届けられました。
今回は茶山が60歳の還暦(かんれき)、70歳の古稀(こき)、80歳の傘寿(さんじゅ)の時に贈られた漢詩や絵画、器物などを紹介します。


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展示資料の御紹介

「双鶴図」の画像
「双鶴図(そうかくず)
(文化14年(1817=70歳))(個人蔵 当館寄託)

上の画像の左側は真鶴(まなづる)、右側は丹頂鶴(たんちょうづる)です。
左上には、「文化14年正月に茶山先生の70歳を祝って描いた双鶴図」と書かれています。
鶴は長寿を象徴する代表的な画題の一つで、今でもお祝いの品などによく描かれていますね。
この画を描いたのは、蠣崎波響(かきざき はきょう)という松前藩(現在の北海道松前郡)の家老です。
なんと絵師でもあります!
書画を描いたり、詩文に精通した人たちのことを「文人」と言いますが、中には波響のように家老や藩主などの武家の人たちもいました。
茶山と波響は、儒者と家老という立場を越え、「文人」同士として親しく交流していました。
茶山のネットワークの広さをうかがわせる資料の一つです。

 

♦守屋壽コレクション「長崎とオランダ・中国」【終了】
  会期:12月1日(金)~1月28日(日)

展示の概要

近世の日本と諸外国との交流は、守屋壽コレクションの蒐集テーマの大きな柱の一つです。
今回のテーマである「長崎」については、令和3年度に「京・江戸・長崎」と題して企画展が開催されるなど、多くの資料が蒐集されています。
​長崎は貿易港として、「ワカラン=和華蘭(日本・中国・オランダの文化が融合したという意)」という言葉が生まれるほど、近世には国際色豊かな独特の風土や文化が育くまれました。
今回は当時の様子を伝える絵画資料を中心に、長崎での諸外国との交流について御紹介します。
​令和3年の企画展を見逃した方、もう一度御覧になりたいと思われていた方、ぜひ御来館ください!!


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展示資料の御紹介

「琉球国図」(部分)の画像
「琉球国図(りゅうきゅうこくず)
 (守屋壽コレクション・当館蔵)

上の画像の「琉球国図」は、上海の港から長崎の港までの航路を描いた図です。
関東大震災で焼失した清朝皇帝の私有物と伝えられる資料の写本であることが、台湾の日中史研究者である劉序楓(りゅうじょふう)氏らの調査によって令和3年に判明しました。
焼失した資料は「海洋清晏図(かいようせいあんず)」といい、清朝の康熙帝(こうきてい)が1700年代初めに、日本に関する正確な情報を得るために派遣した役人の報告書の一つと考えられています。
失われた近世の日本交流史を物語る資料を補うこの資料の判明は、新聞に取り上げられニュースになりました。
今回、その貴重な資料を展示します!
間近でご覧になれる機会をお見逃しなく!!

「琉球国図」のニュースへのリンク「琉球国図」のニュースの詳しい内容はこちら

 

♦特集展示「菅茶山と朝鮮通信使」【終了】
  会期:9月29日(金)~11月26日(日)

展示の概要

菅茶山関係資料の中には、江戸時代の限られた外交の中で、朝鮮から派遣された「朝鮮通信使」に関する資料があります。
その中から朝鮮通信使の応接や文化的交流に関する資料を展示し、江戸時代に行われていた国際交流の姿と、菅茶山がそうした交流に興味を持っていたことを紹介します。
同時開催される守屋壽コレクション「朝鮮通信使と琉球使節」も併せて御覧いただけると、理解が深まります!


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展示資料の御紹介

客館筆語(部分)の画像
「客館筆語(かっかんひつご)」(部分)
(文化8年(1811)以降)( 重要文化財 菅茶山関係資料 当館蔵)

この画像は、文化8年(1818)に接待場所(客館)で、通信使と日本の学者たちが筆談した記録の写しです。
筆談した日本の学者は、寛政の三博士である古賀精里(こが せいり)をはじめ、佐賀藩の草場佩川(くさば はいせん)、会津藩の樋口淄川(ひぐち しせん)等です。
言葉の通じない朝鮮の人たちと話をするために、皆さんが学校で習ったような漢文を使って筆談していました。
漢文は、中国をはじめ東アジア諸国の共通言語ツールとして使われていました。
通信使との筆談は、高い漢文の教養を持っていた儒者が行いました。
​この筆談には、朝鮮通信使への日本の儒者たちの関心の高さがうかがえるエピソードがあります。
それは、筆談の写しを貸し借りして写し合っていたというものです。
この写しもその一つで、筆談の写しを菅茶山が入手したものが画像の資料です。
この後文化10年5月に岡山藩の姫井桃源(ひめい とうげん)が、茶山が入手した写しの借用を依頼しています。
このエピソードを知ると、朝鮮通信使と何を話していたのかが気になってきますね!
是非、展示室で内容を御覧ください!!

 

♦守屋壽コレクション「朝鮮通信使と琉球使節」【終了】
  会期:9月29日(金)~11月26日(日)

展示の概要

守屋壽コレクションの蒐集テーマの一つに、近世の日本と諸外国との交流があり、江戸時代に朝鮮王国や琉球王国から来日した使節に関するものもまとまって集められています。
今回の展示では、「朝鮮通信使」と「琉球使節」に関する絵画資料,刷り物,当時の書状等の記録を紹介します。
同時開催される菅茶山の特集展示「菅茶山と朝鮮通信使」も併せて御覧ください!


展示資料一覧 (PDF)


展示資料の御紹介

「琉球人来朝之図」(部分)の画像
「琉球人来朝之図」(寛政2年(1790)以降)
 (守屋壽コレクション・当館蔵)

画像は、寛政2年(1790)の将軍家斉(いえなり)の就任を祝う慶賀使(けいがし)の一行を描いたものです。
実際には同行する薩摩藩や、警備と道具運搬などを担当する諸藩の人々もいましたが、この資料は琉球の人々のみが描かれています。
琉球の使節団のこのような異国風の衣装は、将軍の代替わりに来る「異国からの使節」を人々に印象付けるための、幕府の意向に従ったものといわれています。
一生に何度も見ることのできなかった一般庶民にとっては、さぞかし印象に残ったことでしょう。

 

♦特集展示「菅茶山と岡山の文化」【終了】
  会期:7月29日(土)~9月24日(日)

展示の概要

備後の文人菅茶山は、地理的に近い備中や備前の岡山の文人たちと親しく交流していました。
交流した文人たちを通じて入手した作品や情報は、茶山の漢詩や和歌といった創作活動にも影響を与えています。
今回の展示では、茶山と岡山の文化や学問との繋がりを示す資料を紹介します。


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展示資料の御紹介

奥遊詩画巻(部分)の画像
「奥遊詩画巻(おうゆうしがしがかん)」(部分)
(江戸時代後期)( 重要文化財 菅茶山関係資料 当館蔵)

画像は、和気郡北方村(わけぐんきたかたむら)(現在の備前市吉永町)の文人、武元登々庵(たけもと とうとうあん)が寛政12年(1800)に東北地方を旅した時の真景図(風景画)です。
旅には画家の大西圭斎(おおにしけいさい)が同行しており、この画像のように松島近辺の風景を描いています。
​​この画が入っている巻子は、圭斎の画を模写したものと、旅で詠んだ登々庵の漢詩を一緒にまとめたものです。
​​​登々庵は神辺に何度も訪れ、茶山と交流していました。
このように交流した文人を通して、茶山は遠方にある地域の情報を入手していたようです。

 

♦守屋壽コレクション「江戸の風景」【終了】
  会期:7月29日(土)~9月24日(日)

展示の概要

今回の展示では、​​大型の絵図としては珍しい江戸の鳥瞰図「江戸之図」や歌川広重の浮世絵など、江戸の町やそこに暮らす人々の様子を伝える資料を紹介します。


展示資料一覧 (PDF)


展示資料の御紹介

「江戸全図」の画像
「江戸全図」(江戸時代)
 (守屋壽コレクション・当館蔵)

この画は、スカイツリー辺りの上空から見た江戸の町並みです。
作者は、江戸の浮世絵師で津山藩の御用絵師となった鍬形けい(草かんむりに惠)斎(くわがた けいさい)です。
富士山と相模大山を背景に江戸の町を描いており、江戸の鳥瞰図の代表的な作品です。
よく見ると、地名や名所が小さい文字で記されています。
是非とも、展示室でじっくりと御覧ください!

♦特集展示「廉塾の器物」【終了】
  会期:4月1日(土)~5月31日(水)

展示の概要

今回の展示は、日本各地の文人たちとの交流や福山藩儒の業務を通じて、菅茶山が収集した書画や器物、古文書や絵図などを紹介します。
※4月と5月に一部展示を入替えます。


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ここが見どころ

姫谷焼皿と箱蓋の画像
 姫谷焼 皿「飛鴈楼閣山水文皿(ひがんろうかくさんすいもんざら)
(江戸時代後期入手)(個人蔵 当館寄託)

姫谷焼は、江戸時代初期のごく短い期間に、福山藩領で焼かれた色絵磁器です。
飛んでいる鴈(がん)と楼閣が、山水の中に描かれています。
箱書きには「姫谷焼 黄葉夕陽村舎什物之一(こうようせきようそんしゃじゅうぶつのひとつ)」と茶山の自筆で書かれています。
“什物”とは、“代々に伝わる秘蔵の宝物”という意味です。
茶山の時代には、すでに貴重な品になっていたことが分かります。

 

♦守屋壽コレクション「近世の港町と鞆の浦」【終了】
  会期:4月1日(土)~5月31日(水)

展示の概要

鞆の浦は、古来から潮待ちの港として知られ、江戸時代には瀬戸内海の主要な港の一つでした。
今回の展示では、朝鮮や琉球、オランダの使節なども立ち寄った近世の鞆の浦の景観やにぎわいの様子を紹介します。


展示資料一覧 (PDF)


ここが見どころ

大阪より長崎まで船路名所旧跡の部分画像
「大板より長崎まで船路名所旧跡(部分)」(江戸時代前期)
 (守屋壽コレクション・当館蔵)

江戸から大坂までの陸路を描く道中絵図とセットで製作され、金箔で装飾された豪華な巻物です。
大坂から長崎までの海路と、その間の主な城下町・宿場町・港町、名所や寺社などが描かれています。
鞆の浦の周辺には、「せんすい(仙酔島(せんすいじま))」「あふとの観音(阿伏兎観音(あぶとかんのん))」などが記載されています。

令和5年度 近世文化展示室展示スケジュール

【終了】
▷特集展示「廉塾の器物」
▷守屋壽コレクション「近世の港町と鞆の浦」
4月1日(土)~5月31日(水)

【終了】
▷特集展示「菅茶山と岡山の文化」
▷守屋壽コレクション「江戸の風景」
7月29日(金)~9月24日(日)

【終了】
▷特集展示「菅茶山と朝鮮通信使」
▷守屋壽コレクション「朝鮮通信使と琉球」
9月29日(金)~11月26日(日)

【終了】
▷特集展示「長寿を寿ぐ」
▷守屋壽コレクション「長崎とオランダ・中国」
12月1日(金)~1月28日(日)

【終了】
▷特集展示「菅茶山と考古関係資料」
▷守屋壽コレクション「ペリー来航と幕末」
2月2日(金)~3月31日(火)

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