指定:昭和53年12月1日
所在:安芸高田市八千代町佐々井及び土師
面積:56.62ヘクタール
この地域は、隔絶した小地域であるため、吉備高原面の残存としての「原始性」を保っており、地形的、植生的に貴重な湿原で、良好な自然環境を形成しています。
この湿原は、中国山地の中位面(吉備高原)上の盆地上のくぼ地に形成されたもので、標高約600メートルに位置しています。湿原は、この盆地状のくぼ地の排水口が狭くて岩盤が高く、かつ、転落石で埋没しているため形成されたもので、その規模は、北東方向に約350メートル、北西方向に約200メートルです。
表流水は見られず、湿泥の上は植物で覆われています。堆積泥の深さは、浅いところで20センチメートル、最も深いところで1.5メートルに達し、概して30~50センチメートルの深さです。
植生は、ヌマガヤがほぼ全域にわたって分布しています。また、キブネゴケ、アオカワモズクは県下でもこの地域しか発見されておらず、貴重な植物です。クサレダマ、ハンカイソウ、シュロソウなどは北方系の植物で、この地域が南限とみられ、特にクサレダマは西南日本ではまれな植物です。
また、この湿原には、ヒメゲンゴロウ、ハッチョウトンボなどの湿地特有の昆虫が数多く生息しています。
湿原の周辺部は、概して幼齢のアカマツ林が見られます。また、棘植物のブッシュが多く、しかも周辺を取り巻いているため湿原の保護に役立っています。
山頂付近に広がる湿原
数多く生息するハッチョウトンボ
この地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び
数値地図25000(地図画像)を複製したものです。(承認番号平成25情複第286号)