指定:昭和49年9月30日
所在:広島市佐伯区湯来町大字菅沢
面積:389.75ヘクタール
この地域は、水内川の一支谷である通称「石ケ谷峡」の優れた峡谷と豊富な植物相が一体となった自然環境を形成しています。
峡谷の長さは南北約8キロメートル、最大比高は300メートルにも達し、兜岩、名号岩などの奇岩に富んでいます。特に、屏風岩、こうもり岩は、30~40メートルの岩壁が河岸にそば立ち、この峡谷の二大景観を形成しています。
渓谷沿い全域にかけてコウヤミズキを主とする河床林があり、その規模が大きい点で注目されています。また,岩角地にコウヤマキ、ヒノキなどからなる群落が見られ、湿岩上では、ナンキンナナカマド、ツツジ類が低木群落を構成し、小規模ながら湿地植生も発達するなど、乾から湿までの多様な成育環境により、植物相は極めて豊富です。
巨岩、岩頭、渓流とともに、植物相が豊富なことから野生生物の生息地としては格好の場となっています。渓流にはモリアオガエル、カジカガエル、アマゴ等のほか多種類の水生昆虫が生息し、四季を通じ、鳥獣とともに渓谷に出現する動物は多彩です。このため、この渓谷は、中国地方の野生生物の自然環境として貴重であり、学術的価値の高い地域となっています。
また、この渓谷は、規模においては、瀬戸内側で最大級に属し、峡谷の一部は、昭和12年に県の名勝に指定されています。
奇岩に富む渓谷
河岸にそば立つ岩壁
この地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の数値地図50000(地図画像)及び
数値地図25000(地図画像)を複製したものです。(承認番号平成25情複第286号)