5種類の肝炎ウイルスが知られています。
A・E型肝炎ウイルスは主に食べ物で感染し,慢性化しないと言われています。
※E型肝炎ウイルス(HEV)については慢性化に関する論文があります。
B・C型肝炎ウイルスは血液を介して感染し,慢性化して肝がんの原因になることが知られています。このB・C型肝炎が肝がんの原因の大半を占めています。
主には,感染している人の血液が体内に入ることによって感染します。血液中のウイルス量が多い場合には,体液などを介して感染することもあります。
例えば,カミソリやピアッサーなど血液の付着する器具の共用や,B型肝炎では性交渉等で感染するリスクがあります。
一方で,握手,ハグする,隣に座る,食器を共用する等では感染しません。
また,生活習慣ではB型・C型肝炎にはなりませんが,脂肪肝は肝炎に悪影響を与えるので,注意が必要です。
B型肝炎には母子感染のリスクがあります。出産前には母親が肝炎ウイルスに感染しているかの検査を行い,出産後には赤ちゃんに必要に応じてB型肝炎免疫グロブリンやワクチンを注射し,母子感染を防止しています。
C型肝炎については母子感染のリスクは低いとされていますが,妊娠前にウイルス量を抑える治療が勧められています。
まずは,肝臓の専門医を受診しましょう。
肝臓は沈黙の臓器です。HBV・HCVに感染した一部の人は慢性肝炎となり,放置しておくと肝がんに進行するリスクがある一方で,慢性肝炎になっても自覚症状がない場合があります。
「症状がないから受診しない」ではなく,症状がなくても必ず定期的に受診し,自分の健康を守りましょう。
治療の多くは飲み薬です。
今は飲み薬だけでHBV・HCVの制御・除去が可能になってきています。
肝炎ウイルスを制御・除去できても,肝臓がすでに大きなダメージを負っていると,通常より肝がんのリスクが高くなります。肝臓が大きなダメージを負う前に早く治療するため,肝炎ウイルスに感染していると知った場合は,すぐに受診しましょう。
肝臓の専門医療機関等の情報は,治療費助成制度のページの下部「ダウンロード」に掲載しています。
他人の血液等に触れる機会を減らすため,カミソリやタオル,歯ブラシ等は共有せず,自分専用のものを使いましょう。血液や体液が付いていないもの(文房具,食器,イス等)の共用は問題ありません。
B型肝炎はワクチンにより予防できます。HBVに感染している方の家族やパートナー等は,ワクチンの接種をおすすめします。
また,1歳未満のお子さんはワクチンの定期接種の対象です。費用の助成もあるので,1歳になる前に必ず受けましょう。
感染しているかを “早く知り,早く治療を受ける” ためには,肝炎ウイルス検査が有効です。
少なくとも一生に1度は肝炎ウイルス検査を受検しましょう。
この検査は,毎年受ける必要はありません。1回受検した後は,感染した可能性ができたときに検査を受けてください。
肝炎ウイルス検査についてはこちらをご覧ください。