【目次】
※このページは,国立がん研究センターがん情報サービスのコンテンツを引用して作成しています。
新しい薬や手術,放射線治療などを用いた新しい治療,あるいはそれらの組み合わせで行われる治療法などに対して,その効果や安全性について確認するために行われる試験のことを臨床試験といいます。
ヒトを対象に行われるすべての研究を指して「臨床研究」といいますが,臨床試験はその中でも,薬の投与,手術,放射線治療などにより,人体に対して変化を伴う研究(介入研究)のことを言います。また,臨床試験の中でも特に,厚生労働省から薬・医療機器としての承認を得ることを目的として行う試験を「治験」といいます。
【臨床研究の枠組み】
(国立がん研究センターがん情報サービス)
現在利用できる治療の中で,安全でより効果のある治療であることが,臨床試験などの結果から科学的に確かめられている治療方法を「標準治療」といいます。過去の臨床試験の積み重ねの結果,最良と判断された治療です。標準治療といっても,患者さんの状態やがんの進行度などによって治療内容が決まるため,同じ種類のがんでも違う薬を使ったり,違う治療を行う場合があります。
【治療内容は患者さんの状態や病期などによって異なります。】
(国立がん研究センターがん情報サービス)
一方,臨床試験は,新しい治療方法がより最良なものであるかを評価する段階で行われますので,一番よい治療かどうかはその時点ではわかっていません。そのことを十分に理解する必要があります。
臨床試験への参加を希望する前に,標準治療やほかの治療について主治医に尋ねてみましょう。場合によっては,セカンドオピニオンを受けるという方法もあります。
参加を考えてみたい場合には,まず主治医にご相談ください。
【臨床試験から標準治療ができるまで】
(国立がん研究センターがん情報サービス)
研究段階の医療は安全性や有効性(治療効果)を明らかにする必要がある治療法です。そのため,患者さんが「適格基準」を満たしていることや,一定の体制が整備された施設で受けることなどが条件とされており,だれでもどこでも受けられる医療ではありません。
検討したいときには,まずはご自身の病状をよく知る主治医に病状に適しているのか,倫理的・科学的に正しく行われているものなのかなど,医師の意見を聞くことは重要です。がん相談支援センターに相談するのもよいでしょう。
また,開発中の治療法は,患者さんに思わぬ副作用を引き起こすことがあるかもしれません。あるいは,残念ながら思ったほどの効果がみられないこともあります。さらに,患者さんの体には一人一人個性があり,同じ治療を受けても効果がある方とそうでない方がいます。新しい治療法を受けられる可能性がある一方で,不利益を被る可能性があることも十分に理解する必要があります。
臨床試験など研究段階の医療を希望する患者さんは専門家から十分な説明を受け,十分に納得した上で同意し,参加する必要があります。治療を受けると決め同意書に署名した後でも,治療が始まる前でも,すでに治療が始まった後でも,いつでも理由を問わずに治療をやめることができます。やめたいと考えたときには,いつでも担当医に申し出てください。
国立がん研究センターがん情報サービスのサイトでは,現在国内で行われているがんの臨床試験を検索することができます。がんの種類や制度の種類,都道府県,年齢などに応じて検索することができ,がんの新しい治療法や診断法の臨床試験をご覧いただけます。
※臨床試験は,それぞれに参加のための条件があります。また,臨床試験は,まだ効果や毒性が不確実な治療法を評価するために行われていますので,試験に参加される方に利益となる場合も,不利益となる場合もあるかもしれません。患者さん一人一人の状況に応じた判断が必要ですので,詳しくは診療を担当している医師にご相談ください。
国立がん研究センターがん情報サービスのサイトには,患者さんやご家族が研究段階の医療を受ける前に知っておいていただきたいこととして,臨床試験の基礎知識や参加に関するQ&A,研究段階の医療について簡単にまとめた基礎知識,国内で行われている臨床試験の情報などが詳しく紹介されています。