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がん検診とは、早期にがんを発見する最も効果的な方法であり、がんを早期発見し、適切な治療を行うことでがんによる死亡を減らすことを目的に行われます。がん検診には、メリット(利益)とデメリット(不利益)がありますが、正しい方法を正しく行うことにより、がんによる死亡を減少させることができます。
厚生労働省によると、生涯のうちにがんにかかる可能性は約2人に1人と推計されており、がんはわが国の死亡原因の第1位です。広島県においても、昭和54年(1979年)以降、がんは死亡原因の第一位で、令和4年には、総死亡者数の約25%、年間8,345人が、がんで亡くなっています。
※詳しくは、広島がんネット「がんを取り巻く現状」のページをご確認ください。
一方で、診断と治療の進歩により、一部のがんでは早期発見、早期治療が可能となり、治るようになってきました。
症状がないまま進行するがんを早期に発見するには、定期的にがん検診を受けることが重要です。
がん検診に関する理解を深め、正しい知識を持って適切に受診しましょう。
現在、国が推奨しているがん検診は、下表の検査方法で実施される5つ(胃・肺・大腸・子宮頸・乳)です。
これらの検診は、有効性(死亡を防ぐ効果)があることが、科学的に証明されている検診です。
有効性が証明され、さらにデメリット(不利益)がメリット(利益)に比べて十分に小さいと判断できる検診が推奨されています。
また、メリット(利益)とデメリット(不利益)のバランスを考慮した上で、対象となる年齢や受診間隔も定められています。
種類 | 対象者 | 受診間隔 | 検査項目 |
---|---|---|---|
胃がん検診 | 50歳以上の者※1 ※1:当分の間、胃部X線検査に関しては40歳以上に実施も可 |
2年に1回※2 ※2:当分の間、胃部X線検査に関しては年1回の実施も可 |
問診に加え、胃部X線検査または胃内視鏡検査のいずれか |
肺がん検診 | 40歳以上の者 | 年1回 | 質問(医師が自ら対面により行う場合は問診)、胸部X線検査および喀痰細胞診(ただし喀痰細胞診は、原則50歳以上で喫煙指数が600以上の人のみ。過去の喫煙者も含む。) |
大腸がん検診 | 40歳以上の者 | 年1回 | 問診および便潜血検査 |
子宮頸がん検診 | 20歳以上の女性 | 2年に1回 | 問診、視診、子宮頸部の細胞診および内診 |
乳がん検診 | 40歳以上の女性 | 2年に1回 | 問診および乳房X線検査(マンモグラフィ) |
【引用】がん予防重点健康教育およびがん検診実施のための指針(平成28年2月4日)
がん検診の最大のメリットは、がんの早期発見・早期治療によりがんによる死亡が減ることです。症状が出てから受診した場合、がん検診と比べ、がんが進行していることが多くあります。一方がん検診は症状のない健常者を対象にしていることから、早いうちにがんを発見できます。下表のとおり、早期に発見するほど5年生存率は高くなります。
また、がん検診を受けて「異常なし」と判定された場合に安心を得ることができるのも利益のひとつです。
がんの進行度による5年相対生存率(2013年~2014年診断例)
(参考文献:公益財団法人がん研究振興財団 がんの統計 2023)
がん検診には、必ずデメリットがあります。主なデメリットとして、がんが100%見つかるわけではないことや、不要な検査や治療を招くことがあることなどがあげられます。
がん検診の対象者は、症状のない健常者のため、身体的、精神的苦痛を被るリスクはできるだけ低くする必要があります。
デメリットを理解し、メリットが上まわると判断した上で検診を受けることが重要です。