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広島県では、令和元年に約2万3千名の方ががんと診断されており、その内約23%にあたる5,357名が就労世代(15歳~64歳)の方でした。
また、令和元年国民生活基礎調査によると、仕事を持ちながらがん治療のために通院している方は約44万8千人いるといわれており、平成28年と比べ約8万人増加しています。
現在、日本人の2人に1人ががんにかかるといわれていますが、がんと診断される方が増える一方で、医療の進歩(手術の負担軽減や抗がん剤・放射線治療による副作用のコントロールなど)により、がん種によっては完治が期待できるものや、かなり長期にわたる安定状態が期待できる病気になってきました。そうした状況をふまえ、がんにり患した方が、仕事へ早期復帰することや、治療しながら働き続けることが可能になってきています。
平成30年度に厚生労働省が行った調査では、がんと診断された時に収入のある仕事をしていた方の内、約2割の方が退職・廃業していたという結果がでました。
また、その約2割の方の詳細を見てみると、実に6割近い方が初回治療を開始するまでに退職・廃業していたことが分かりました。もちろんこの中には、十分に検討した上で仕事を辞められた方もいますが、職場や医療機関に相談していれば、離職を回避できた方もいらっしゃると考えられます。
大切なことは、がんになってもすぐに仕事を辞めないことです。
多くのがんにおいて、「がんになったから治療に専念するために仕事はやめないと…」、「がんになったから長期間入院しないといけないから…」というのは一昔前の話になっています。治療に関する医療技術の進歩や、副作用をかなり抑えることができるようになってきたことなどにより、平均入院日数は年々減少するなど、現在では、通院によってがん治療を行うことができる患者さんも多くなりました。
また、企業側としても、これまで会社に貢献し、業務に精通している貴重な人材を失うことは不利益が大きく、離職を防ぐために、柔軟な働き方(休暇・時差勤務など)を認めたり、業務内容を症状に合わせて配慮するなど、両立支援に向けた取組の輪が広がってきています。
もちろん、あなたの気持ちや家族の状況など踏まえて、「仕事を辞める」という選択が必要な場合もありますが、まずは主治医や担当看護師、職場の上司の方などと、治療と仕事の両立について話し合ってみてください。治療と仕事の両立についてしっかり考え、納得してがん治療に臨んでいただくことは、あなたの療養生活をより良いものにすることにつながるかもしれません。
「職場に迷惑がかかるかも…」、「病状について何をどこまで会社に伝えたらいいのだろう…」、「何から始めたらいいかわからない…」という方は、まずがん診療連携拠点病院のがん相談支援センターにご相談ください。
がん相談支援センターでは、がん患者さんの治療と仕事の両立支援に関する相談についても、看護師や社会福祉士などが対応し、制度のご紹介やアドバイスなどを行っています。また、必要に応じてハローワークなどの他機関と連携したり、場合によってはあなたの会社と意見書などをやり取りし、就労上必要な配慮の検討や治療計画の見直しなどを行うことも可能です。
がん相談支援センターには、広島産業保健総合支援センター(以下「産保センター」といいます。)と連携し、治療と仕事の両立支援専用の相談窓口が設けられています。
この相談窓口では、産保センターが派遣する、社会保険労務士などの資格をもつ両立支援促進員による相談支援を受けることができます。両立支援促進員は調整役として、症状や治療計画、職場で配慮することなどを踏まえて、働き続けられるような体制づくりをサポートしてくれます。
がん診療連携拠点病院以外の一部の病院にも相談窓口が設置されています。詳しくは、下記リンク先をご確認ください。
県内4カ所のがん診療連携拠点病院では、がんをはじめとした疾病の長期療養をしながら、働きたいという方の就職を支援するために、ハローワーク広島東及びハローワーク福山の専門担当者「就職支援ナビゲーター」による出張就職相談が月に1回開催されています。
症状や通院状況に配慮した求人探しや、仕事復帰の不安解消のための相談に応じているほか、応募書類の作成や面接の受け方などについて、あなたの療養状況を踏まえたアドバイスをしてもらえます。
詳しくは、各病院のサイトをご確認ください。
国立がん研究センターがん情報サービスのサイト「がんと仕事のQ&A」には、がんの診断から復職までの間に就労上注意することや個々の状況に応じた具体的なアドバイス、復職後の働き方だけでなく、新しい職場への応募におけるポイントや、医療費や生活費などお金に関すること、家事・育児に至るまで、就労世代のがん患者さんの日常生活に関するヒントがたくさん掲載されています。(正社員だけでなく、アルバイトやパートの方、自営業者の方や求職中の方向けの情報もあります。)
広島県では、社員のがんに関する正しい知識の普及・啓発やがん検診受診率向上、治療と仕事の両立支援、地域へのがん検診啓発活動、がん患者団体等への支援など、総合的ながん対策に主体的かつ積極的に取り組む企業を、「Teamがん対策ひろしま」登録企業として登録し、その取り組みを支援しています。
広島県内にも、がん患者さんの治療と仕事の両立支援に取り組む企業がたくさんあります!ぜひ参考にご覧ください。